医療施設や地域におけるCKD療養指導の担い手
腎障害を示す所見や腎機能低下が慢性的に続く状態である慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease;CKD)という新しい病気の概念が注目を集めています。CKDは放置したままにしておくと末期腎不全となり、人工透析や腎移植が不可欠になります。末期腎不全は世界的に増加しており、早期発見・早期治療の重要性が叫ばれています。また、CKDでは心臓病や脳卒中などの心血管疾患になりやすこともわかっています。
これらの状況に対し、標準的なCKD保存療法を現場に浸透させることを目的として、日本腎臓学会、日本腎不全看護学会、日本栄養士会、日本腎臓病薬物療法学会が立ち上げ、日本腎臓病協会が運営しているのが腎臓病療養指導士の資格制度です。資格は看護師・保健師、管理栄養士、薬剤師を対象としており、有資格者は職種横断的なCKD療養指導に関する基本知識を備えていることが認定されます。
腎臓病療養指導士の具体的な役割は次のように定められています。
(1)CKDの意義、CKDに関する基本的な知識と対策、およびCKDの予防について 理解・習熟している
(2)ステージに応じた保存期CKD患者への基本的管理方法を理解し、個別のCKD患者に対してステージに応じた包括的かつ基本的な療養指導(生活指導、栄養指導、薬物指導)を行うことができる
(3)CKDに関して腎臓専門医や他の医療従事者と円滑な連携がとれ、チーム医療に参加することができる
(4)腎代替療法についての基本的知識を有し、3つの療法選択(血液透析、腹膜透析、腎移植)に関する説明を行うことができる
(5)AKIの基本的知識を持ち、その予防策について指導することができる
(6)自らの指導技術を高める活動を継続する
(7)後進の指導を行い、腎臓病療養指導士の育成に努める
(8)CKDの啓発活動に努める
(9)地域の行政機構、医師会などと連携してCKD 対策を推進する
(10)腎臓病療養指導活動の普及に努める
(11)CKDの臨床研究への参加に努める
資格は、年1回実施される認定試験を受験することで取得できます。認定試験の受験に向けては、実務経験、研修、講習会の受講という要件を満たす必要があります。認定を得るための評価は認定試験の結果に加え、実務経験、研修、講習会のすべてが対象になります。
資格情報
(1)看護師、管理栄養士、薬剤師のいずれかの資格を持ち、資格取得から3年以上経過
(2)認定試験に応募するための要件を満たす
(3)認定試験を受験する
(4)5年ごとに更新する
(1)療養指導の実務経験: 過去10年以内に通算2年以上、かつ通算1000時間以上腎臓病患者の療養指導業務に従事していること
(2)研修:所定の施設で、各職種の指導を10例以上かつ各職種最低2例以上研修すること
(3)講習会の受講(5年間有効)
※実務経験、研修は代替研修(e-learning症例研修)も可能
<講習会> ※2023年度の場合
◎日程
・開催日時(現地参加) 2023年5月27日(土)10:00~16:00
・開催日時(オンデマンド受講) 2023年6月7日(水)10:00~6月21日(水)10:00
・参加受付期間 2023年4月17日(月)10:00~5月19日(金)14:00
※参加申込はインターネットによるオンライン登録のみ
※参加申込時に現地参加かオンデマンド受講かを選択
◎会場
・現地参加 東京医科歯科大学 M&Dタワー 鈴木章夫記念講堂(東京都文京区)
・オンデマンド受講 自宅ほか
◎定員
・250人
◎費用
・受講料 10,000円
<認定試験> ※2023年度(第7回)の場合
◎日時
・2024年2月4日(土)13:00~16:00
◎会場
・TOC有明コンベンションセンター(東京都江東区)
◎費用
・受験料 22,000円
※受験申込はインターネットによるオンライン登録のみ
◎第6回(2022年度)
看護師262名、管理栄養士82名、薬剤師122名、保健師3名:合計469名
◎第5回(2021年度)
看護師127名、管理栄養士42名、薬剤師96名、保健師5名:合計270名
◎第4回(2020年度)
看護師107名、管理栄養士31名、薬剤師69名、保健師2名:合計209名
・資格の有効期間 5年
・更新の条件 過去5年以内に通算2年以上かつ通算1000時間以上にわたって保存期腎臓病患者の療養指導業務に従事していること、学会への出席などで所定の単位を取得していること、など。詳細はホームページ参照
・費用 更新料11,000円
問い合わせ先
NPO法人 日本腎臓病協会
〒113-0033 東京都文京区本郷3-28-8 日内会館6F 日本腎臓学会内
TEL:03-3813-8480
FAX:03-5802-5570
E-mail:j-ka@jsn.or.jp
Webサイト:https://j-ka.or.jp/