「悲しみのケア」の担い手
死別を経験すると「喪失」と呼ばれる、亡くなった人を思い慕う気持ちから湧き起こる感情・情緒で心が占有されそうになることがあります。いっぽうで「立ち直りへの思い」と呼ばれる、死別という現実に対応してなんとか窮地を脱しようという努力も試みられています。2つの感情の間で揺れ動いて不安定になり、身体上も不愉快な反応や違和感を経験する状態が「グリーフ(悲嘆)」です。このような状態にある人にさりげなく寄り添い、援助することが「グリーフケア」です。
人と人とのつながりが希薄になっている現代は、大切な人を亡くしたときの悲しみが深く複雑なものになりやすく、どこで誰のケアを受けるかの情報はありません。死別の悲嘆は誰からも自らも必ず経験することであり、その知識は自らの成長にもなります。「心の解放ができる場」「悲しみをふんわりと温かく包み込んでくれる人」「心の整理をそれとなく促す機会・場」の必要性が高まっていることなどを背景に、「グリーフケアマインド」を備えた人の育成をめざして日本グリーフケア協会®が運営するのが、グリーフケア・アドバイザー®の資格制度です。
資格取得を通して、日本人の死別悲嘆の反応と悲しみを癒すアプローチ法について学び、身につけることができます。正常または非正常な悲嘆に関する知識を身につけ、グループワークなどを通してケアについての実践法を学ぶこともできます。有資格者は「悲しみのケア」の担い手として、医療や福祉、教育、宗教、葬儀、心理などの分野で活動することが期待されています。
資格は2級(初級)、1級(中級)、特級(上級)の3種類があり、それぞれが所定の講座を受講することで取得できます。各級で行われる認定講座の概要は下記のとおりです。
■2級(初級)
グリーフケアを望む人にとって大切な第一歩となる基本的な知識を学び、ケアの原則を踏襲できることを目的とした座学中心の1日間の講座。18歳以上(申請時)であれば誰でも受講可。
【講座の主な内容】・グリーフケアの基本 ・悲嘆のプロセス ・遺族の心情 ・死別悲嘆の援助法および注意点
■1級(上級)
複雑な悲嘆に関する事柄やケアの実践方法などの講義のほか、ゲスト講師による講話や演習など、グリーフケアの実践に欠かせない内容を学ぶ2日間の講座。グループワークを通して、アドバイザー同士の交流を持つこともできる。受講資格は2級講座の修了認定を受けていること。
【講座の主な内容】・グリーフケアの経緯 ・予期による心痛(予期不安) ・複雑な悲嘆 ・自助目標と演習法 ・グリーフケア実践時の注意 ・グループ療法 ※ゲスト講師を招いてのランチョンセミナーあり
■特級(上級)
より深いケアに伴う実践力や技能を高めたい人、グリーフケアのワークショップやケア講座の開催を行いたい人のために、必要となる知識・技術・ノウハウなどを学習する2日間の講座。受講申込にあたっては、協会からの推薦が重視される。日本におけるグリーフケア普及の先駆者として尽力できる人の受講が期待されている。受講資格は1級講座の修了認定を受けていることに加え、レポートなどの評価も考慮される。 ※受講には協会の推薦が必要。
【講座の主な内容】・知識をもとに演習を徹底する ・グリーフケアのワークショップのケアの実際 ・時事的な問題とその対象方法実践(災害、移植、被害者支援など)
資格情報
・認定を希望する級の認定講座を受講する
・2級:18歳以上(申請時)であれば誰でも受講可
・1級:2級講座の修了認定を受けていること
・特級:1級講座の修了認定を受けていること。レポートなどの評価も考慮される。※受講には協会の推薦が必要。
◎日程
・講座開催:2~3月と8~9月の年2回(時に3回、11月頃)
・申込時期:5月、12月 ※インターネットで受付
◎会場
・2級:赤羽会館(東京都北区)
・1級:人事労務会館(東京都品川区)
問い合わせ先
一般社団法人日本グリーフケア協会® 事務局
〒202-0022 東京都西東京市柳沢5-15-26
TEL:042-467-6650
Webサイト:https://www.grief-care.org/
※電話対応可能時間は、水曜日・木曜日10時から17時15分まで