みなさんこんにちは!

前回からガイドワイヤーについてお話しをしています(図1)。今回はPCIワイヤーを取り上げますね。

さまざまなPCIガイドワイヤー

PCIワイヤーは、冠動脈に風船などを挿入するときに線路として使われるものです。なのでガイドワイヤーが血管内病変を通過しなくてはPCIが始まりません(図2)。

ガイドワイヤーの冠動脈の挿入は、ズンズンと真っ直ぐ挿入していくのではなく、先端をクルンクルン回しながら入れていきます。クルンクルン回すためにトルカーを使います。



PCIで使われるガイドワイヤーは、おおよそ0.3mmの0.014インチのものがよく使われます。見た目はどれも同じようなものですが、よーくよーく見ると少し構造が違います(注:肉眼ではわかりません)。ワイヤーがグルグル巻かれているものや、プラスティックのカバーが被っていてツルンツルン滑るものもあります。

それと、ガイドワイヤーは硬さの違いもあります。硬さは「g(グラム)」で表現するのですが、通常最初に使われるガイドワイヤーは0.5gぐらいのものを使います。動脈硬化が硬かったりすると0.5gでは歯が立たないときがあります。そんなときには、ガイドワイヤーを2gや4gなど硬いワイヤーに変えていきます。とても硬いものだと20gというものもあって、先端をツンツン触っただけでチクチクするくらい硬いです。

特殊なワイヤーとして、先端になるにつれて細くなっている「テーパードワイヤー」というものがあります。これは、冠動脈が前々から完全に詰まっている慢性完全閉塞(CTO:chronic total occlusion)のときに登場することが多いです。

CTOって完全に閉塞していると見えながら、じつは細く細く道筋がある場合があるんです。それをマイクロチャネルっていいます。このほそーーーーい道筋にガイドワイヤーの頭を突っ込めるように、テーパー(先細り)しているガイドワイヤーを使うこともあるんです。CTOって硬いワイヤーを使うだけじゃないんですよね。

だから、気をつけないといけないんです!

〈ツルンツルン〉
ツルンツルンのワイヤーは知らないうちに冠動脈の奥深くに入り込んでしまいます。そうすると冠動脈を突き破って血管外に出てしまうことがあります。これを冠動脈穿孔といいます。

〈チクチク〉
チクチクするくらい硬いワイヤーはちょっとしたことで冠動脈を突き破ってしまいます。これも冠動脈穿孔を起こしやすいガイドワイヤーってことになりますね。

冠動脈穿孔を起こさないために

施行医も十分に注意してガイドワイヤーを進めていきますが、私たちにもできることがあります。

▼心電図モニタに注意!
ガイドワイヤーが血管の奥深くに入って心筋を突いてしまうと、心室期外収縮(PVC:premature ventricular contraction)が出ることがあります。PVCが出たら先生に「PVCです!」ってコールしましょう!

次回は、ガイドワイヤーによる冠動脈穿孔についてお話しします! 私たちの具体的な行動についてもお話ししますね。

では今回はここまで!
ありがとうございました!

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プロフィール:野崎暢仁
新生会総合病院 高の原中央病院
臨床工学科 MEセンター
西日本コメディカルカテーテルミーティング(WCCM)副代表世話人

メディカセミナー『グッと身近になる「心カテ看護」~カテ出しからカテ中の介助、そして病棟帰室後まで~』など多数の講演や、専門誌『HEART NURSING』、書籍『WCCMのコメディカルによるコメディカルのための「PCIを知る。」セミナー: つねに満員・キャンセル待ちの大人気セミナーが目の前で始まる! 』など執筆も多数。