こんにちは!
緊カテが始まる。まずはこの患者さんがどれくらいの重症度か。
そして緊カテ中に起こりうること。準備しておくことは?
患者さんをよく観察するとわかります。
今回は、何かが起こる急性心筋梗塞の患者さんの押さえておきたい観察ポイントを考えていきましょう! お話しすることは、カテ室だけでなく救急室などでも同じことなので、救急や病棟スタッフも必読です!
カテ室のモニタにバイタルサインが出たら確認すること
【心電図】
PVCの有無、心拍数、ST-T変化
《PVCの有無》
PVCが出ていたらモニタリング強化!
Vf(心室細動)が誘発される可能性大!
特に↓↓↓
・PVCの頻度が多い(数拍に1回以上)
・PVCが連発している(2連以上)
・PVCの波形の形が1発1発で異なる(2パターン以上ある)
→同じ誘導で2つ以上のPVCの形を見比べます。それぞれ違う形の波形であれば要注意です(多形成)
《心拍数》
-徐脈-
刺激伝導系に影響があるような心筋梗塞を起こしている可能性があります。テンポラリーペースメーカや脈をあげる薬剤を準備しておきましょう。
-頻脈-
ショックの状態である可能性があります。急変時対応が迅速にできるように、より準備を整えておきましょう。
《ST-T変化》
急性心筋梗塞の場合は、ST-T変化がどの誘導にどのくらいの変化があるかを確認しておきましょう。
特に↓↓↓
aVR誘導でST上昇が認められたら、LMT(左冠動脈主幹部)が閉塞している可能性がある極めて重症な状態かもしれません(#014「~急変を予測するって大切なんです~」)。
【SpO2】
重症患者さんでショックの状態のときは、末梢血管が締まっていることが多いです。その場合はSpO2は値が出にくい!
【NIBP】
心筋梗塞だけでは低血圧を示すことは少ないといわれています。血圧が低い場合は、極めて重症なショックの状態になっている可能性があります。
患者さんに聞くこと
胸の痛みを数値化スケールにして確認しましょう
「いちばん痛いときを10としたら今どれくらい?」
このスケールは、来院時から共通のスケールとして下記のように経時的に確認します。症状がある場合には、このタイミングで症状スケールを聞きましょう
・救急搬入時(病棟出棟時)
・カテ室入室時
・カテ中(再灌流後)
・カテ後
・集中治療室入室後
私が一番緊張感をもって挑む緊急カテのときの3つの危険バイタル
①STの上がりが半端ない
②PVCが出ている
③頻脈である
この3つのバイタルが揃うとより緊張感をもって治療に挑みます。VF(心室細動)になる危険性が大です。
さらに忘れてはならないのが、患者さんの手足を触り、冷感・しっとり具合を確かめます。これは、#015「~救急室で手をスリスリ。足をスリスリ。プロフェッショナルの仕事です~」でお話したノリア・スティーブンソン分類(Nohria-Stevenson分類)です。
重症患者さんの対応をするときには、いかに迅速に、先手を打って対応することができるかが超重症急性期を乗り越えるキーポイントになってきます。ポイントを絞って、予測しながら対応することが大切ですね。
では、今回はここまで!
またお会いしましょう!
ありがとうございました。
新生会総合病院 高の原中央病院
臨床工学科 MEセンター
西日本コメディカルカテーテルミーティング(WCCM)副代表世話人
メディカセミナー『グッと身近になる「心カテ看護」~カテ出しからカテ中の介助、そして病棟帰室後まで~』など多数の講演や、専門誌『HEART NURSING』、書籍『WCCMのコメディカルによるコメディカルのための「PCIを知る。」セミナー: つねに満員・キャンセル待ちの大人気セミナーが目の前で始まる! 』など執筆も多数。