循環器疾患領域の看護専門誌「ハートナーシング」は、長年多くの読者の方々に支えられ2022年で刊行35周年を迎えました。皆さまへの感謝を込めて、2022年に３回の無料のオンラインセミナーを開催いたします。
第2回（8月29日開催）においてセミナー講師をおつとめいただく編集委員の木原康樹先生（地方独立行政法人神戸市民病院機構 神戸市立医療センター中央市民病院 病院長）と岩瀬三紀先生（トヨタ記念病院 病院長）に本誌のことと、今回のセミナーについてお話しを伺いました。
事前の疑問・質問も絶賛受付中です。heart@medica.co.jpまでぜひお寄せください。

――このたびハートナーシングは35周年を迎えます。編集委員を長らくおつとめいただいているお二人は、どのような専門誌という印象を持っておられますでしょうか？

木原：
難しいことをむずかしく語る専門誌はたくさんあるわけですが、難しいことを「あっそういうことなのね～」と納得させてくれる専門誌は少ないですね。ハートナーシングは、読者が獲得するべき内容に焦点を当てることで、読者の心を掴むことに成功した専門誌だと思います。説明文を端的に、そして宮本先生の漫画など図をふんだんに使うスタンスがステキです。

岩瀬：
第1印象はカラフルで、漫画やイラストが多く、新人ナースにも手に取りやすい専門誌だと思いました。しかめっ面で苦学するのではなく、「微笑みながら学び合う」印象です。長々とした文章がないので、気楽に読み始めて、読み終えた後に元気をもらえる専門誌ですね。

――今回のセミナーでは、ハートナーシング7月号の特集をテーマにしております。「併存症がある心疾患患者さん“ならでは”Not ＆ Good対応」、ずばりどこが強みの号でしょうか？

木原：
「あーそれわたしニガテだわ～」を正面に据えて立ち向かっていく姿勢、そこに定評あるハートナーシングの説得力が加わっています。したがって、これは「買い！」ですね。併存症がある患者さんは“＋α”があるわけですから、そりゃややこしいし、誰もがニガテです。考え方をスッキリさせるのに、本号は役立ちますよ。

岩瀬：
Not & Good 対応の具体例が示されているのが強みです。先輩ナースが後輩に、「自分もこの例とよく似たNot対応やGood対応したんだけど、自分が経験した症例ではもっとよい対応をした」と自慢できます。反対に、自分がもっと悪い対応をした話をすれば、後輩との距離が縮まり、患者さんの笑顔づくりの素になることでしょう！

――「併存症をもつ高齢患者さんが大多数」という時代ではありますが、併存症は理解が難しくニガテという看護師さんも多くおられます。病態理解やケアにあたってのアドバイスがあればお願いします。

木原：
内因性疾患のほとんどは根治できず、時には次第に進んでゆきます。慢性心不全はその典型例ですね。心臓だけではなく、脳、肺、肝臓、腎臓、それに心（精神）も、同じような傷をため込んでいく臓器です。「ひとは血管とともに老いる」というオスラー博士の言葉がありますが、ひとは併存症が増えるごとに年を取ってゆく、というのも真実のようです。高齢者とは、併存症をあれこれとたんまり抱え込んで先行きが心細いひとのことかもしれませんね。元気を出しなさいと促すよりも、そっと寄り添うことの方が力になる場合もある、ということです。

岩瀬：
先天性心疾患を除けば、多くの循環器病は多因子疾患です。例えば心筋梗塞ならば、糖尿病・脂質異常症・高血圧症・若年の家族歴・喫煙がリスクファクターであることは誰もが知っていますね。さらに、糖尿病の合併症は腎不全・脳血管障害など多彩です。併存症が多ければ、すなわち併存する薬剤もあり、その相互作用は複雑です。例えば抗不整脈薬を使う際に、併用薬が低カリウム血症を招くと、致死性不整脈である心室細動が生じやすくなります。もちろん薬に限らず何でもよいですが、本特集にある併存症の知識を、実践してからもう一度読み返せば、血となり肉となるでしょう！

――最後に、今回の参加者へのメッセージをお願いします

木原：
トヨタ記念病院の岩瀬院長とわたしは30年来の付き合いです。どこで見染めたか？ それは参加してのお楽しみ。熟練コンビのボケとツッコミで楽しんでもらえればと思います。

岩瀬：
30年前、心不全の基礎研究では日本の若手リーダーであった木原先生は雲の上の方でした。とある出会いから、ほぼ木原先生の弟子状態が現在まで続いています。この専門誌の編集を通じて、より懇意にさせていただいています。今度の講演は、私にとってワクワクです。

日時：2022年8月29日（月）　18時半～19時半（約60分）
申し込み締切：2022年8月24日（水）
※予定数に達し次第 受付終了となります
対象：医療従事者
受講料：無料

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