インスタグラム @sugar.openurse
脳腫瘍の発覚から約1カ月、覚醒下手術の準備のために3泊4日の検査入院になりました。入院中にすることは、採血や12誘導心電図など一般的な手術前検査、それに加えて、初めてのFunctional MRIやトラクトグラフィーです。“今回は侵襲的な検査ではないんだから……”と、思っていても、漠然とした不安を覚えました。どんなことをするのかドキドキしていたのですが、技師さんが優しく説明してくれて緊張がほぐれ、ほっとしたことを覚えています。
医療者側としては「簡単な検査ですよ」などと言いがちですが、患者側には、医療従事者が想像しているより、相当な不安があります。ひとつひとつの検査や処置は簡単で小さいものでも、その積み重ねで心が疲弊していくのです。ちょっと無愛想な対応をされただけで心が砕けました……。そんななか、心が緩んだのは医療従事者の笑顔でした。笑顔で対応してくださるだけで、ほっとします。それが患者さんの力になるのだと実感し、本当に良い学びになりました。
私が受ける覚醒下手術では、言語機能の評価が欠かせません。術中も言語聴覚士の方がそばにいてくれて、言語タスクをお手伝いしてくれるとのことでした。入院中に担当の言語聴覚士さんと挨拶をしました。また言語聴覚士さんが術前の言語評価をしてくれたので
すが、そのとき私がびっくりしたのは、復唱ができなくなっていたことです。
「復唱してください。“皆で力を合わせて綱を引きます”」
「皆で力を……あれ? なんだっけ……?」
簡単な文章でも、復唱できないのです。何度聞いても、どうしても覚えられません。これが言語機能の障害だとわかってはいても、頭が悪くなってしまったような気持ちになり、ショックでした。“腫瘍が摘出できたら、元に戻るのかな?”“手術室看護に復帰できるのかな……?”。頭がいっぱいで、とぼとぼと病室へ帰りました。
勤務先の医師や手術室看護師が千羽鶴を送ってくれました。忙しい仕事の合間に折ってくれたんだろうなぁと、温かい気持ちになりました。本当に力になりました!

勤務先の医師や手術室看護師が千羽鶴を送ってくれました。忙しい仕事の合間に折ってくれたんだろうなぁと、温かい気持ちになりました。本当に力になりました!
本コラムは『OPE NURSING(オペナーシング)』2022年11号からの再掲載です。

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