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覚醒下手術の準備のための入院中、検査はとてもスムーズに進みました。しかし、一つ悩むことがありました。
「妊孕性温存について、婦人科の先生から説明を受けることができます。早めに考えておいたほうがいいと思います」。
主治医の話に、固まりました……。想像もしていなかった“妊孕性温存”という言葉に衝撃を受けました。事前に、手術後の放射線療法や化学療法は避けられないかもしれないと説明されたことを思い出しました。“そっか、私、がん患者だ……”と思い知らされます。
検査の合間に婦人科の先生を紹介してもらいました。「悪性腫瘍患者の卵子凍結について」というプリントを受け取り、説明を受けました。プリントには「治療後における妊娠の可能性が著しく低下あるいは消失することが多いです」というとても重い一文が……。手術を受けるだけでいっぱいいっぱいなのに、今後の人生を考えないといけません。先生からの説明は、あまり頭に入りませんでした。
一通り検査が終わり、退院。次は手術入院です。その合間に妊孕性温存について家族やパートナーと相談しました。卵子凍結をする場合は採卵をしなければいけませんし、私の身体への負担もかかります。そのため、選択肢の一つとして特別養子縁組も考えることになりました。後悔しないよう、たくさん考えました。いまだに、それが正解だったかはわかりません。
私は手術室看護師です。がん患者の手術を担当することもたくさんありました。“手術を受ける患者の思いって、「手術がこわい」、それだけじゃないんだなぁ……”と感じました。文章ではうまく伝えられないのが悔しいのですが、本当に複雑な思いでした。看護計画によく書かれる「不安緩和の援助」、今まで行ってきた看護を振り返る機会になりました。

パートナーから、パートナーのご両親にも妊孕性温存について伝えてもらいました。私だけではなく、パートナーの人生設計にも関わることなので……。手術前には、パートナーのご両親・妹さんからお守りをいただきました。とてもうれしかったです。
本コラムは『OPE NURSING(オペナーシング)』2022年12号からの再掲載です。

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