患者の死|大事なことはぜんぶ臨床で学んだんだ|mizuki|#004

看護師クリエイティブプロジェクト「fractale」のみなさんが、毎回テーマに沿ってそれぞれの看護の足跡を残していく本企画。

「学びかたを学ぶことで看護師として生きる選択肢をふやしていく」ことをコンセプトに立ち上げたメディア「メディカLIBRARY」のスタッフが、毎回、フラクタルのみなさんにテーマを伝えています。

今回のテーマは「患者さんの死」です。

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看護師という仕事は人の命にかかわる。
「死」というものはたくさん勉強になるきっかけをいただける。

僕は急性期が苦手でどちらかという慢性期が好き。
だから急性期で亡くなる方より慢性期で亡くなる方を多く見てきました。

精神科で亡くなられた方のご家族が病棟に来て、荷物を引き取りにきたとき、病棟では荷物を引き取ったのにそのまま1階のゴミ箱にすべてを捨てている光景を目撃しました。

すごくショックだった。

亡くなった患者さんの人生がすべて否定されるようなできごとが目の前で起こっている。
すごくつらかった。
けど、そのできごとをじっくり考えたとき、家族の気持ちもわからなくもないと思いました。

それはなぜか。

その患者さんは精神疾患の影響を受け、家族に暴力を振るい、近所では窃盗などを繰り返していた。
家にいても家族が危険、外に出れば地域に迷惑をかけてしまう人だった。

その後入院をしたのだが、家族とは疎遠になった。
そりゃあ、たくさんの迷惑を長年被ってきた家族だ。
正直もう二度と会いたくないって気持ちでいっぱいだったと思う。
そしてもう家族のなかから患者さんの記憶は消えたのでしょう。

それから何十年と経過し、キーパーソンの両親は他界。
病院より連絡を受けた家族は一度も会ったこともない、話にすら出てこなかった人。

「どこかの病院に入院しているおじさんがいるとは聞いていたのですが」と困惑を隠しきれない。
突然病院から連絡がきて「お亡くなりになったから荷物を取りにきてほしい」と言われた……、葬儀費用のことも突然言われたら……。
荷物も渡されたところでどうしろって話なんだろうなと思いました。

患者さんの死をとおして、家族関係がとてもよくわかります。
でも本当に、自分の定規で相手を測ってはいけない。

患者、家族にはたくさんの背景があり、正論では語れない物語がたくさんあるなって思いました。

とても自分の考え方を変えさせてくれたできごとでした。

//バックナンバー//

#001 はじめての尿カテ
#002 大好きな検査値
#003 ナース服のポケットに忍ばせたメモ


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fractale~mizuki~
twitter:mizuki@おぬ 9年目看護師(@c_mikzuki

乗り物好きな看護師。事務職、データベースエンジニアを経て31歳で看護師に。脳外科、回復期、精神科病棟を経験。その後は在宅医療を経験し、再度精神科病棟へ。看護師クリエイティブプロジェクト「fractale」管理者。医療メディア「メディッコ」メンバー。看護師のキャリアについて考える「ナスキャリ部!」副部長(仮)。その他多数プロジェクトに参加。好きな言葉は「まだ見ぬ誰かの笑顔のために」。好きな看護技術はひげ剃り(その他ほぼ不得意)。好きな看護業務はリーダー業務。好きな都バスの路線は【業10】新橋~とうきょうスカイツリー駅前。 

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