自分にできることをやろう|大事なことはぜんぶ臨床で学んだんだ|satomi|#006

看護師クリエイティブプロジェクト「fractale」のみなさんが、毎回テーマに沿ってそれぞれの看護の足跡を残していく本企画。

「学びかたを学ぶことで看護師として生きる選択肢をふやしていく」ことをコンセプトに立ち上げたメディア「メディカLIBRARY」のスタッフが、毎回、フラクタルのみなさんにテーマを伝えています。

今回のテーマは「はじめての急変対応」です。

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“どの状況下でも、自分にできることはかならずあるから、自分にできることをまずは頑張ろう”

心の中でずっと呟きながら、怖さと闘った。今でも忘れない、はじめての急変。


それは入職後、2カ月もたたない時期だった。日中のドタバタから解放され、ようやく座れたところで一息つきつつ、せっせと記録を書いているときだった。

「レベル低下! 先生呼んで! 急いで!」
「処置室行きます! 手を貸してください!」

ナースステーションの目の前の部屋から鳴り響く、先輩の甲高い声。
急いでナースステーションの隣にある、医師の部屋へ行き、何が何だかわからぬまま報告。
ざわつきを察知したのか他科の医師も来てくれた。

その患者さんは末期がんの方で、そろそろ延命希望についての話をするところだった。ただ、なかなかご家族の都合と医療者側の都合が合わず、話が進まないでいた。

そんななかでの急変。
延命についての話が進まぬままの、呼吸状態の悪化と意識レベルの低下。
この場合、医師の判断にもよるが、このまま何もしない、というわけにはいきません。他科の医師も「え、DNARとれてないの!」と言いつつ手伝ってくれた。

日勤も夜勤も集まり大勢で処置室へ移動。点滴を作るところの横が比較的広いスペースとなっていて、そこが処置室と言われていた。
いつも「広いな~」なんて思ってのんきに見ていたけど、こうやってベッドや救急カート、DC、そして大勢のスタッフが集まると、めっちゃ狭く感じた。

これらの流れをハラハラドキドキみているわたしと同期。
落ち着いているフォローの先輩。
心臓がすっごい勢いで拍動してるのがわかる。
好きな人に近づかれるとなるような、アドレナリン大放出状態。なんかそんな感じ。
ちょっと落ち着け、自分。

緊迫した状況のなか、フォローの先輩は「まぁ、まずは自分たちの記録を終わらせようか」と指示をした。
わたしたちがキョトンとしていると、先輩は「あっち行ってできることあるの?」と続け、わたしたちは無言になった。
たしかに、いたところで何にもできないし、むしろ邪魔になる。
「何かできることあったら声かけてください…薬とか機械とか取りに行くなら、行ってくるので!!」と伝え、おとなしく記録を書き始めた。


その後、先輩は処置室のフォローに回った。
その瞬間、一気に心細くなったわたしと同期。目を合わせてうなずいた。
言葉はなかったけどお互いに「一緒に頑張ろう!」って思っていたのは間違いないと思う。
目のめちゃくちゃ大きな同期だったが、緊張すると余計に見開く癖があった。
そのときの同期の目がかつてないくらいにまんまるで、いまだに鮮明に覚えている。

ナースコール対応すら十分にできない時期だったが、外周りはわたしたちだけだったので、ナースコール対応しながら、記録、先輩方の残っている業務、などなど自分たちでもできることを考えて、ただがむしゃらに動いた。
何にもなくても、廊下うろうろしてみたり、一呼吸置くためにトイレに行ってみたり。
自分は急変対応に直接かかわってないのに、気持ちが勝手に焦り、ずっとソワソワしてた。

同期と廊下ですれ違うたびに「できることやろうね!」と励まし合った。
同期の目は相変わらず見開いていた。
その目を見て“緊張してるのはわたしだけじゃないんだな”と安心したのをすごく覚えている。
同期の存在が心強すぎてなぜか涙が出そうだった。


時間とともに落ち着いてきた病棟。
先輩に「お疲れさま、いろいろありがとうね。助かったよ」と言われたのが2人してすこし照れくさかった。


いつもの帰り道は愚痴や嘆きが多かったけど、この日はちょっと違った。

「数年後は自分たちがあっち側に行けるように成長しないとねー」なんて話し、なんだか気持ちが前向きだった。

急変対応にはかかわれなかったけど、チームの一員になれた感じがすごくうれしかった。

//バックナンバー//

#001 はじめての尿道カテーテル
#002 なにがなんだかわからないケンサチ
#003 大きいからポケットには到底入らない
#004 家族じゃないからこそできること
#005 経管栄養とは


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fractale~satomi~
twitter:自由人ナースさとみ(@minisatominy

三度の飯よりお酒が大好きな飲兵衛看護師。仕事終わった瞬間からが本番だと思っている。仕事は真面目な自信あり。大学病院消化器外科3年、民間病院ICU2年、公立病院脳外科夜勤専従、訪問入浴、デイ、老健など1年の派遣生活を経て、メルボルンへ10ヶ月の看護留学。帰国後から訪問看護師として働き3年目。座右の銘は「笑う門には福来たる」。根からの明るい性格を最大限に利用し、日々楽しく訪問中。マルチポテンシャライトだから特技っていう特技はないけど、強いて言えばラポール形成が無駄に得意。今までクレームや担当変更がないのが密かな自慢。ちゃっかり保健師免許所有。 

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