この連載は、英語の先生でも医師でもない、看護業務を知り尽くした現役看護師が医療現場で本当に使える英会話を紹介します。

検温、点滴、清拭、おむつ交換など医療現場で頻度の高い看護業務に焦点を当て、使えるフレーズを丁寧に解説します。

【看護師の看護師による看護師のための英会話:Episode1】は、「部屋持ちのあいさつ」です。

今日は外国人患者さんを受け持ちます。
申し送りが終わって、これから受け持ち患者さんへあいさつにいきましょう。
日本人の受け持ち患者さんにあいさつを終え、あなたはいま外国人患者さんの部屋の前です。

こんな普段の会話を英語にしてみましょう。

(ドアを)コン・コン

①「失礼します、こんにちは」
②「今日担当する佐藤です。よろしくお願いします」
③「もう少ししたら、検温に伺いますね」
④「何かありましたら、ナースコールで教えてください」
⑤「失礼しました」

Knock, knock.

①Can I come in? Hi, how are you? How are you feeling today?
②I am Sato. I am your nurse today. Nice to meet you.
③I will be back soon to check your vital signs.
④Please press a nurse call button when you need any help.
⑤See you soon.

今日は、部屋持ちのあいさつで使えるフレーズ④「何かありましたら、ナースコールで教えてください」の英語表現を深掘り解説しましょう。

「そもそもナースコールって外国人に通じるの?」と思いませんか?

大丈夫です、通じます👍

ただし、ナースコールは押しボタンなので、英語で表現するときは「press a nurse call button」です。

「あれ?押すってpushじゃないの?」と思いませんでしたか?
「押す」は「push」です。でも、ボタンに使うときは「press」なんですよ。

ここで、「push」と「press」の違いを簡単に説明しましょう。
「push」の表示をよく見かけるのは、ドアですよね。
「push」には、押して動かすという意味があるので、ドアには「push」を使います。

「press」の表示をよく見かけるのは、ボタンです。
「press」には、一定の圧で押すという意味があるので、ボタンには「press」を使います。
(ただし、非常ボタンのようにグッと力を入れて押すボタンは「PUSH」を使うことがあります)

スーパーマーケットやサービスエリア、空港などのトイレでよく見かける誤表記が「PUSH THE BUTTON TO FLUSH(ボタンを押して流してください)」です。
正しくは、「PRESS THE BUTTON TO FLUSH」です。

「何かあったら」は、「when you need any help」を使いました。
「when you need any help」は、「何か困ったことがあったら」や「何かお手伝いが必要なときは」という意味です。

「何かお困りでしたら教えてください」という表現は、看護師に限らず、仕事でも日常でもその場を離れる際によく使う社交辞令のような表現です。

「Please press a nurse call button when you need any help」を覚えておくと、患者さんとの会話をスムーズに終えることができます。



いかがでしたか? 次回は、⑤「失礼しました」を深掘り解説していきます。

では、Let’s wrap it up for today. Have a good one.(今日はこのへんで、またね~)



佐藤まりこ
生まれも育ちも北海道。しかし、寒いのが苦手で大学卒業とともに上京し大学病院に勤務。さらなる暖かさを求めて2009年、米国・ロサンゼルスに留学し、翌年California RN(Registered Nurse) Licenseを取得。サンディエゴの総合病院で急性期病棟実習を修了後、内視鏡センターに勤務。帰国後は、看護師・医療通訳・医療翻訳を兼任しながら大学病院に勤務中。

▼佐藤まりこさんのほかの連載