看護師兼ライターの白石弓夏です。
看護師として現場で働いていると、“継続的に学びが必要である”と痛感することがあります。大人になってからの『学び』は、自分のなかに落とし込み、現場で活用できるか、応用できるかが重要になってくると思います。みなさんは実際にどのように『学び』を深めているでしょうか。
この連載では、さまざまな場所で活躍されている看護師にインタビューを行い、自身の『学び方』について、一緒に考えてみようと思います!
今回は訪問看護師、取締役として働く落合実さんです。
訪問看護師、緩和ケア認定看護師。18歳で有床診療所に勤務して以降、大学病院、訪問看護ステーションと勤務する施設を変えながらも一貫して終末期患者の看護に従事。
白石>落合さんは看護助手として働きながら看護学校に通い、看護師となった後もさまざまなジャンルの学校に通っていたそうですが、学ぶときに意識していることはなんですか?
落合>僕は、教科書を読んで黙々と勉強するタイプではないんですよね。知識を補う程度にざっと本を読むことはあるけど……。黙々と勉強するよりも、生きた話を聞くことのほうが大切だと思っているんですよ。
白石>生きた話というのは……?
落合>僕は18歳から看護助手や准看護師として臨床に出ていたけど、現場で働きながら勉強できる環境でよかったなと、いまでは思っています。解剖生理などをイチから教科書で勉強するのが苦手で……。それよりも、「挿管チューブにはこういう種類があって、こういう人には、こういうタイプを使う」「それは、気管がこういう構造になっているから……」といった現場に沿った話のほうが記憶に残っているからなんです。大学病院に入職したら研修医の先生が勉強会をしていたので、そこで一緒に勉強したこともありましたね。
白石>私も、実際に経験しながら学ぶほうが頭に入るタイプです!目で見て説明を受けることでイメージしやすくなりますし、実践でもすぐに使えることが多いので、勉強した結果を結び付けやすいですよね。
落合>あとは、必要だから勉強するのではなくて、欲しているものを勉強するから学ぶんじゃないのかなと思うんです。知りたいこと、興味のあるものを勉強するほうが、身に付きやすいですから。
『必要だから勉強するではなくて、欲しているものを勉強するから学ぶ』『必要だから勉強するではなくて、欲しているものを勉強するから学ぶ』 この言葉を理解するために、何度か繰り返す必要がありました。
白石>なるほど。先輩として後輩に指導するときも、必要な知識だからと押し付けるのではなく、本人の興味をかきたてられるように持っていきたいものですね!
落合>そうですね。困ったときに「これはなんだろう?」と知識にアプローチできる環境を整えることも、働くうえでは重要じゃないかと思います。漠然と呼吸についてわからないからという理由で、呼吸器領域の教科書を1ページ目から読むことってあるじゃないですか。けれど、働くうえで呼吸に関する数値、例えば“PaCO2”の意味がわからないから、PaCO2でどんなことがわかるのかを調べるというほうが知識として定着しやすいですよね。知識にアプローチできる環境という点では、ポケットブックやガイドラインをすぐ見られるようにしておくのもいいと思います。あとは、自分で調べるだけでなく、話を聞きやすい先輩や医師と仲良くなっておくのもいいですよね。医学や看護学の知識って、全部覚えられる情報量じゃないし、そこまでする必要はないのかなって。体系的なものは頭に入れておいて、細かなところの情報にアクセスしやすい環境を準備しておいたら強いですよね。
白石>そうですよね。若いころって、先輩に質問されて答えられないとやばいから、メモ帳に丸々書き込んで、覚えようとした記憶があります……。でも、限界があるので、すぐに確認できる環境をつくっておくことは大事ですね。それを繰り返していくことで段々と経験や知識として身についていくのだと思います。
後編では、落合さんが考える「そもそも学びって誰のためのものなのか」について聞いていきたいと思います。
//バックナンバー//
#001
自分の基盤にどうのせるかで学びを考える|吉岡純希さんと白石弓夏さん(前編)
#002
お互いの領域をリスペクトする|吉岡純希さんと白石弓夏さん(後編)
#003
わからないことを追求する奥深さ|小浜さつきさんと白石弓夏さん(前編)
#004
学生教育から学びを考える|小浜さつきさんと白石弓夏さん(後編)
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白石弓夏
看護師兼ライター。整形外科病棟とクリニック、施設で働きながらライターとして活動中。ポジティブ思考、フットワークの軽さが強み。ライターとして情報収集、発信向けにTwitterをはじめたが、いつのまにか飯テロ垢と化したので、軌道修正中。
Twitter→https://twitter.com/yumika_shi
看護師兼ライター。整形外科病棟とクリニック、施設で働きながらライターとして活動中。ポジティブ思考、フットワークの軽さが強み。ライターとして情報収集、発信向けにTwitterをはじめたが、いつのまにか飯テロ垢と化したので、軌道修正中。
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