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2020年3月6日時点で、WHOはQ&Aで「インフルエンザでは発症した最初の3~5日もしくは発症前の伝播が主な伝播の原因であるのに対して、COVID-19では発症する24~48時間前の人はウイルスを排出するものの、伝播では大きな役割を果たしていない」と記述していました1)。しかし、欧州CDCが3月12日に公開した資料では、「発症前に感染性があること」が示されています2)。また、感染者が排出するウイルス量の研究によれば、「無症状患者のウイルス量は有症状患者に近く、無症状~軽症の患者は感染性があるかもしれない」と指摘されています3)。したがって、“COVID-19の患者は発症前から感染性があると考えるべき”と思われます。

≪参考文献≫
1)WHO.Q&A: Similarities and differences –COVID-19 and influenza.
https://www.who.int/docs/default-source/coronaviruse/situation-reports/20200306-sitrep-46-covid-19.pdf?sfvrsn=96b04adf_2
1)European Centre for Disease Prevention and Control.Novel coronavirus disease 2019 (COVID-19)pandemic: increased transmission in the EU/EEAand the UK–sixth update.
https://www.ecdc.europa.eu/sites/default/files/documents/RRA-sixth-update-Outbreak-of-novel-coronavirus-disease-2019-COVID-19.pdf
1)Zou,L.et al.SARS-CoV-2 Viral Load in Upper Respiratory Specimens of Infected Patients.

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矢野邦夫

浜松医療センター 副院長 兼 感染症内科部長
医学博士、浜松医科大学 臨床教授、産業医

1981年に名古屋大学医学部卒業。名古屋掖済会病院、名古屋第二赤十字病院、名古屋大学第一内科、米国フレッドハッチンソン癌研究所、浜松医療センターを経て米国ワシントン州立大学感染症科エイズ臨床短期留学。米国エイズトレーニングセンター臨床研修終了後、1997年に浜松医療センター感染症内科長、衛生管理室長に着任。2008年7月より同副院長(現職)。

インフェクションコントロールドクター、感染症専門医・指導医、抗菌化学療法指導医、血液専門医、日本輸血学会認定医、日本内科学会認定医、日本エイズ学会認定医・指導医、日本感染症学会、日本環境感染学会 評議員。

著書に、ねころんで読めるCDCガイドラインシリーズねころんで読める抗菌薬シリーズ(メディカ出版)、エビデンスに基づいた抗菌薬適正使用マニュアル(メディカ出版)など多数。



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