看護師クリエイティブプロジェクト「fractale」のみなさんが、毎回テーマに沿ってそれぞれの看護の足跡を残していく本企画。

「学びかたを学ぶことで看護師として生きる選択肢をふやしていく」ことをコンセプトに立ち上げたメディア「メディカLIBRARY」のスタッフが、毎回、フラクタルのみなさんにテーマを伝えています。

今回のテーマは「夜勤前のルーチン」です。

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二交代夜勤。
過酷な16時間労働。
前日の日勤から戦いは始まっている。
重症患者やオペ患が多ければ忙しくなるだろうし、落ち着いていれば落ち着いているだろうし、なんとなく翌日を頭でイメージしながら日勤を終わらす。

日勤後、まずは心のデトックス。
もちろんわたしにとってはアルコール消毒だ。
今まで、夜勤前日に飲まなかった日はないと思う。
むしろ、休肝日は夜勤の日のみだった。
飲んで食べて話してスッキリ。
帰宅後は余韻に浸りながら、だらだら夜更かし。


なぜなら、早く寝てしまうと、早起きしてしまうから。

当然のことをドヤ顔で言いました。
しかし、ちゃんと理由があります。
夜勤入りだと、15時には病棟に行かないといけないし、帰ってくるのは翌日の10時すぎ。
遅くなった日はお昼近くになる。
長丁場なので、夜勤入りの日の朝早くに起きてしまうと後がつらい。


なので、“あえての”夜更かしからの、朝寝坊が必須だった。


遅く起きてお布団でグダグダ、昼前くらいにのそのそ活動開始、ぼけーっとしながらお昼を食べるという、夜勤がなかったら、自堕落なだけのこの過ごし方。


何の気なしにやっていたこのルーティン。
ところが、これができなくなったとき、このルーティンのおかげで無事に夜勤を乗り越えられてたんだなって気づいた。


そう、きっかけは、同棲。

同じく夜勤のある業種の相手だったし、相手が朝に帰ってくる日もあれば、日勤で朝早くに起きて出ていくときもある。
もともと睡眠の浅いわたしは物音で起きてしまう。
明けで帰っても、相手が家にいて活動してるとがっつり眠れない。
今思えば本当に、部屋を分けるべきだったと思う。

もちろん夜勤だけが原因じゃないけど、なんだかそういうストレスが積み重なったのか、わたしたちは破局してしまった。


“夜勤は身を削られる”、とよく言うけど本当にそうで、とにかく長いし過酷。
生活リズムも狂うから、自律神経も乱れる。
若いから余裕そうに見えるかもしれないけど、身体には相当な負荷がかかっている。

若い人だって、しんどい。
「若いから大丈夫だよね!」や「夜勤って稼げるからいいよね!」や「明け?じゃあ、休みじゃん!」という言葉、わたしは時に相手を追い詰めることもあると思う。

そりゃそうさ、命を削っているのだもの。

もちろん、個人差がありますが。
そういう言葉よりも、「ゆっくり寝てていいよー!」とか、「ご飯できてるよー!」とか、優しい愛のあることばがどれだけありがたく、身に染みるか……!


そう、夜勤の戦いは前日から。


ただ、ひとこと言わせてください。


『その過酷さを乗り越えた夜勤明けの一杯は格別ですよ』

//バックナンバー//

#001 はじめての尿道カテーテル
#002 なにがなんだかわからないケンサチ
#003 大きいからポケットには到底入らない
#004 家族じゃないからこそできること
#005 経管栄養とは
特別編 在宅は1人の感染が命取り
#006 自分にできることをやろう


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fractale~satomi~
twitter:自由人ナースさとみ(@minisatominy

三度の飯よりお酒が大好きな飲兵衛看護師。仕事終わった瞬間からが本番だと思っている。仕事は真面目な自信あり。大学病院消化器外科3年、民間病院ICU2年、公立病院脳外科夜勤専従、訪問入浴、デイ、老健など1年の派遣生活を経て、メルボルンへ10ヶ月の看護留学。帰国後から訪問看護師として働き3年目。座右の銘は「笑う門には福来たる」。根からの明るい性格を最大限に利用し、日々楽しく訪問中。マルチポテンシャライトだから特技っていう特技はないけど、強いて言えばラポール形成が無駄に得意。今までクレームや担当変更がないのが密かな自慢。ちゃっかり保健師免許所有。 

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