看護師クリエイティブプロジェクト「fractale」のみなさんが、毎回テーマに沿ってそれぞれの看護の足跡を残していく本企画。

「学びかたを学ぶことで看護師として生きる選択肢をふやしていく」ことをコンセプトに立ち上げたメディア「メディカLIBRARY」のスタッフが、毎回、フラクタルのみなさんにテーマを伝えています。

今回のテーマは「家族とのかかわり」です。

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訪問看護師になってから、ご家族とのかかわりがすごく増えた気がする。


訪問看護では、看護師が利用者さんの元に行くのは、多くても週に3回とか。
それ以外の時間はご家族と過ごしている。

看護師の看護の視点を少し伝えることで、ご家族が観察してくれているとも言える。
なので、コミュニケーションは密に図っている。


救命救急センター、ICUのときは、患者さんは挿管されてたり、意識がなかったりと、そもそもコミュニケーションが取れない人も多かった。

そしてそんな患者さんの面会に来られるご家族も、とても言葉少なだったように思う。


ひとつ気が付いたのは、在宅でご家族とのかかわりが『増えた』と思っているけど、逆に、今までがほとんど、ご家族とまともにかかわってこなかったんじゃないか、向き合ってこなかったんじゃないか、ってこと。


私が勤めた救命救急センターやICUでは、面会に制限がある。
どこの病院にも多かれ少なかれあるのではないでしょうか?
ご家族以外の方の面会はお断りする、面会時間も病院全体のものとはすこし違う、面会時間に制限があるとか。


私は今まで、せっかく短い時間のなかで面会しているんだから邪魔をしてはいけないと考えて、声をかけるとしたら帰る直前。
肩を落として帰っていくご家族に「今日のお昼ご飯、食べられました? なに食べました?」から始めて「ご家族の方は体調など崩されていませんか?」みたいな方向に持っていくんだけど、今考えてみたらこれって、カルテにちゃんとご家族に声をかけましたって書くためにやっていたようだ。

とくに奥さんが入院中の、高齢の旦那さんは生活状況の把握をしっかり。
若くて働き盛りの大黒柱的な旦那さんが入院中の奥さんには、子どもさんはどうされてるのかも確認。

でもそれは「私はちゃんとやりました」っていうある種のアリバイづくりだったようにも感じる。
情報収集のための情報収集、といった感じで。


看護の対象は患者さん本人にとどまらず、患者さんを取り巻く環境全部が対象で、ご家族も入る。

なんて授業でも習う内容だったけど、超々急性期病棟では、患者さんとご家族を切り離して考えていたように感じる。

だって、うまく結び付かないから。


患者さん本人がどの程度回復するのかもまだわからず、介護力の有無とかそういう段階でもない、じゃあどうすれば良かったのか、っていうことを考えていたんだけど、行動の根拠や振り返るための理論ももちろん必要だったけど、それよりも心からご家族を労る気持ちだったのかもしれない、とも思う。

//バックナンバー//

#001 孤独にDance in バベル
#002 RED
#003 Dear my lovely memo
#004 BE THERE
#005 憂いのTubing
特別編 Survive
#006 EMERGENCY DAY
#007 Working All Night
#008 たしかなものは肉の下


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看護師クリエイティブプロジェクトFractaleのエモ担当。なぜか気が付いたら在宅沼に片足突っ込んでいた7年目看護師。外科・脳外科病棟→救命救急センター→集中治療室→2020年2月から在宅。新米訪問看護師。輸液ポンプ、シリンジポンプのコード整理の特技が活かせなくなってしまった。元葬儀屋、病院栄養科勤務経験のある社会人から看護師パターンのやつ。ケアの原点を在宅に感じて、改めて生と死を見つめ直そうとしている。趣味は筋トレと読書とロードバイクと音楽鑑賞。B'zに対する並々ならぬ執着心がチャームポイント。 好きなトレーニングはレッグエクステンション。


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