看護師クリエイティブプロジェクト「fractale」のみなさんが、毎回テーマに沿ってそれぞれの看護の足跡を残していく本企画。

「学びかたを学ぶことで看護師として生きる選択肢をふやしていく」ことをコンセプトに立ち上げたメディア「メディカLIBRARY」のスタッフが、毎回、フラクタルのみなさんにテーマを伝えています。

今回のテーマは「家族とのかかわり」です。

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在宅で療養生活を送るには、多くの場合、家族の協力を必要とします。

介護はやっぱり大変なこと。
もちろん環境にもよりますが、施設やホスピスなど選択肢があるなか、介護を引き受けるということは、本人のことを大切に思っていないと、なかなかできない行為です。
そのため、訪問看護師が家族とかかわる際に大事なのは、“家族の大切な人を看ている”としっかり意識することだと思います。


でも、意識したからって、具体的にどうすればよいかと言われると、すこしむずかしい。
簡単に言ってしまえば「言動、礼儀礼節にめっちゃ気を遣っている」。
とか、わたしの場合、そんな感じ。
対人なので、正解はなく、どうしてもふわっとしてしまう。
なので、わたしが訪問看護師になって間もないころ、先輩に言われたある言葉を紹介します。


“自分の家族のように接すればいいんだよ。”

“自分のおばあちゃんだったら、どうする?”


自分の家族(大切な人)に接するように、利用者さんに接する。
大切な人であれば、雑な扱いはしないし、嫌なことはしない。
QOLがすこしでも上がるよう、いろいろなことを考えるし、悩むし、実施する。
家族には、それが伝わる。
家族との直接的なかかわり方ではないけれど、これが、家族とのかかわりで大事なところかな、と個人的には思います。


訪問看護師は、病院よりも患者さん(利用者さん)とかかわる時間が長いです。
もちろん、家族とかかわる時間も。

今の言葉でいうと、「密」!

時間をかけられるぶん、信頼関係を築きやすい。
“大切な人”の身体のことを任せるのに、関係性の構築は必須です。

関係性を築ければ、訪問特有の「家族の一員のような」「家族の大切な人を一緒に看ている」ような、なんとも心地のよい距離感で家族とも本人とも接することができます。
もちろん、わたしたちは看護師なので、ただの人ではなくって、身体のことを任せられる、安心感のある存在でいることも忘れずに。
まずは、意識から。
わたしたちのかかわりで利用者さんと家族の生活を支えていけるといいですね。

//バックナンバー//

#001 はじめての尿道カテーテル
#002 なにがなんだかわからないケンサチ
#003 大きいからポケットには到底入らない
#004 家族じゃないからこそできること
#005 経管栄養とは
特別編 在宅は1人の感染が命取り
#006 自分にできることをやろう
#007 戦いは前日から
#008 波形だけじゃないよ、心電図モニター


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fractale~satomi~
twitter:自由人ナースさとみ(@minisatominy

三度の飯よりお酒が大好きな飲兵衛看護師。仕事終わった瞬間からが本番だと思っている。仕事は真面目な自信あり。大学病院消化器外科3年、民間病院ICU2年、公立病院脳外科夜勤専従、訪問入浴、デイ、老健など1年の派遣生活を経て、メルボルンへ10ヶ月の看護留学。帰国後から訪問看護師として働き3年目。座右の銘は「笑う門には福来たる」。根からの明るい性格を最大限に利用し、日々楽しく訪問中。マルチポテンシャライトだから特技っていう特技はないけど、強いて言えばラポール形成が無駄に得意。今までクレームや担当変更がないのが密かな自慢。ちゃっかり保健師免許所有。 

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