書籍『だけでいい! フィジカルアセスメント』(詳しくはこちら)を元に、より実践的に解説したオンラインセミナー「だけでいい! ベッドサイドのフィジカルアセスメント」(詳しくはこちら)について、講師の橋本忠幸 先生(大阪医科薬科大学 総合診療科特任助教)、石亀慎也 先生(西和賀さわうち病院 総合内科)にお話を伺いました。



編集部:今回のセミナーでは、腹痛急変、体液管理、呼吸音をテーマにご講義いただきました。 橋本先生、石亀先生。このセミナーで「まずはここを聞いてほしい」という部分を教えてください。

橋本先生:そうですね。4つのテーマは全部、比較的よくあるものを取り扱ったつもりなんですけど、その中でもすぐ見られるという意味では、「急変においてどこをフィジカルで見たらいいのか」という点が、割とわかりやすくまとめられたんじゃないかなと思います。

あとは腹痛とか体液管理など、画像や検査所見でなかなか出にくいところを、どうやってフィジカルで見ればいいのかというところもわかってもらえるんじゃないかなと思っています。

石亀先生、どうですか?

石亀先生:はい、ありがとうございます。僕も急変のところがすごく見ていただきたいポイントですね。看護師さんや研修医の先生方って部署のローテーションも結構多いんですけど、急変はやっぱりどこに行ってもつきものです。そういったところをしっかりピックアップして教えてもらえる本ってそう多くはないかなと思うので。

今回のセミナーでは、視診もしっかり学べるような作りで、画像とか写真がとても多く使われています。視診は最初けっこうあなどりがちというか、深く学びにくいところかなと思うので、その視診をしっかり学べるのはとってもいいなと思っていました。

橋本先生:そうですね。特に急変対応だったら、膝の所見などは、やっぱり見逃してほしくないところではありますよね。

石亀先生:一回見れば見落としも少なくなると思うし、インパクトもありますよね。

橋本先生:それを動画で見られる本書と本セミナーは、珍しいんじゃないかなと思います。

編集部:看護師だけでなく、薬剤師の方からも視聴したという声が届いています。

これからフィジカルアセスメントを学ぶ方に「これだけは覚えておいてほしい!」と思うポイントはどこでしょうか。

石亀先生:はい、ありがとうございます。

ここは、これだけと特定するのはすごく難しくて、全部重要かなと思うんですけど、あえて一つというと、このセミナーはフィジカルの重要性というところに触れています。

フィジカルアセスメントって診断だけでもなくて、治療効果判定にも使えたり、繰り返しできたりとか、誰でも低侵襲に何度でもできるという良さがあって、その辺りを一度見てもらえたらいいかなと思います。

所見で言えば、個人的に腹膜刺激徴候のところなんかは意識して見ないと見落としてしまう機微な変化かなと思いますので、ぜひ見てもらえるといいと思いました。

橋本先生はどうでしょうか?

橋本先生:なんかすごくいいことを全部言われてしまった(笑)

石亀先生:すいません(笑)

橋本先生:フィジカルの良さを体感してもらえたらいいんじゃないかなと思っています。一番いいのは、僕らが皆さんのところに行って手取り足取り教えられたらいいんですけど、なかなかそれができないので、石亀先生が言ってくれた通り、患者さんにとってもかなり侵襲が少ないから、自分たちでトライして、「これはこういうことか!」みたいなのを体感しやすいと思うんですよね。治療効果測定という面でも体感できると思うし、腹膜刺激徴候など、結構悪い病気の場合でも体感しやすいと思います。

なのでフィジカルに限ったことじゃないですけど、自分でやってみて振り返ってもらうっていうのが、特にフィジカルアセスメントを学ぶ点においては大事なんじゃないかなと思います。

石亀先生:僕もそれを感じています。所見・フィジカルって主観的な評価もちょっと入るじゃないですか。例えば呼吸音とか。異常所見のリアルを動画や音で伝えてくれるので、正常との比較になったり、自信を持って所見を書きやすくなる材料になるんじゃないかなって思いながら聞いていました。

橋本先生:そうね。呼吸音は比較的日々の変化を捉えやすいですよね。今回のセミナーで取り上げた4つ(腹痛、急変、体液管理、呼吸音)は、比較的フィジカルの中でも変化がダイナミックだと思います。特に呼吸音や浮腫に関しては、本当に毎日見た方がいいフィジカルだから、毎日もしくは毎回その患者さんのところへ行くときにやることで、変化に気づけるものなんじゃないでしょうか。

石亀先生:日々の変化も大事ですよね。

編集部:ありがとうございます。このセミナーや書籍を活かして、日々見てもらうことが大事なのですね。



編集部:先生方のご経験の中で、「フィジカルを見ていたおかげで患者さんが助かった」など、印象的なエピソードはありますでしょうか。

橋本先生:そうですね。パッと思いつく中では、とても印象的な症例があって。

患者さんの急変というか、「少ししんどそうです」っていうので病棟に呼ばれて、研修医の先生が先に見てくれて僕に報告してくれたんです。そのときのサチュレーション…SpO₂を指で測ってる値でみると、脈拍が80とかあったかな? それで、「別にそんなに変わりなかったです」って言ってたんですけど、話を聞いていると突発性だったんで、心房細動が起こって心不全になっているようなことを予想したんですよね。いざ見に行って心音を聴くと、明らかに150ぐらいあって。

心不全までにはなっていませんでしたが、心房細動でも、倦怠感とか息切れ感が出たりするだけで、検査値が嘘をつくときがたまにあるんですよね。もちろんフィジカルもね。嘘をつくというか、わからない時はあるんですけど、検査値に騙されてその人に実際起こっていることを見逃すというのはそんなに少なくないですよね、意外に。

他には、今回のセミナーの「腹痛」でもちょっと取り上げたところではあるんですけど。

例えば虫垂炎とかで、虫垂が破裂すると痛みとしてはマシになってしまう時があるんですよね。でもお腹の所見としては逆に硬くなっていて。そんなふうに、患者さんの中でも騙されることがあるんです。

フィジカルがすごい客観的かって言われると、必ずしもそうでもないですけど、検査値に騙されるシチュエーションもまあまああるので、検査値に騙されないっていうのも大事な要素かなと思うんですよね。そこで「フィジカルで助かった」なんていうときが僕は結構あるんです。石亀先生はそんな経験ありますか?

石亀先生:僕の場合は看護師さんからの指摘で見つかった症例なんですけど、看護師さんに「病棟でなんだかご飯を食べなくなって、微熱がある人がいます」と言われて。自分の持ち患者さんで「なんだろうな?」って思って診察に行こうとすると、それより前に看護師さんが「関節が腫れているんで、見てほしいです」と言ってきてくれて、偽痛風が見つかったことがありました。

すごく助かりますし、過剰医療の回避にもなりました。そんな経験は何度もあるっていうと言い過ぎかもしれないですけど、本当にありますね。

あと、ちょっとセッティングは違うかもしれないんですけど、今、在宅訪問診療や訪問看護など、病院じゃないセッティングでのフィジカルの有用性がすごく高いなぁって感じています。

驚いたのは、薬局薬剤師さんから「パーキンソニズムが進んでいるかもしれません」と言われたことです。薬剤師さんはフィジカルを取れないと勝手に思っていたんですけど、むしろ薬剤師さんだからこそ、視診と問診を突き詰めていたりもして、すごく感動しましたね。

その患者さんのパーキンソニズムが進んでいるのは少し理解はしていたんですけど、そういったところでもフォローしてもらえているっていうのはすごく安心感に繋がって、これはすごく思い出深い症例です。

編集部:ありがとうございます。お二人ともとても興味深い症例で、橋本先生の「騙されない」という話も本当に印象的ですね。では、最後に視聴者へのメッセージをお願いいたします。

石亀先生:フィジカルアセスメント、一人で勉強して頑張るのは難しいと感じている人も多いと思うんです。だから、もちろん本などを使って楽しくやってもらえたらいいと思いますし、あとは一人で頑張るだけじゃなくて、何よりチームや病院全体、地域の人たちとか、いろんな人を巻き込んでみてください。それでフィジカルという共通言語文化が広まると、もっと楽しくなって、医療もスムーズに進んでいくんじゃないでしょうか。なので、ぜひ一人で頑張りすぎずに、本の力も借りながら、動画の力も借りながら、みんなで楽しくフィジカルアセスメントを突き詰めていってもらえたらと思います。

橋本先生:僕からは、フィジカルも含めてそうなんですけど、どうしても学びにくいものっていくつかあると思うんですよね。コミュニケーションとか。このセミナーや本は、その場で僕らが教えている、僕らが話しているかのように書いたり、セミナーしたりしたつもりです。なので、セミナーや本で見て、「自分が思ったことは、こういうことだったんだ」と気づいてもらえることで、ご自身の悩みを解決できるんじゃないかなと考えています。皆さんのもとにダイレクトには行けないんですけど、本を読んでもらうことで、セミナーを見てもらうことで、多少でもそれに近いことができるんじゃないかなと思っています。

橋本忠幸
大阪医科薬科大学 総合診療科特任助教

石亀慎也
西和賀さわうち病院 総合内科





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『だけでいい! ベッドサイドのフィジカルアセスメント』

▼プログラム
導入:フィジカルアセスメントって?
はやい! やすい! うまい! 手軽に実践できるフィジカルを勉強しよう!
フィジカルアセスメントってどう思う?
価値の高いフィジカルとは
フィジカルの勉強法
毎日の診察の理由をおさらい

症例1:腹痛
「お腹が痛い」にもいろいろある! 段階を見極めてアセスメントに活かそう!
症例紹介:腹痛
NGロールプレイ なんとなくみる腹痛
圧痛の段階を理解しよう!
OKロールプレイ 段階を意識してみる腹痛
まとめ

症例2:腹痛(虫垂炎)
虫垂炎なのに痛みがはっきりしない…そんなときはどうする?
症例紹介:虫垂炎
NGロールプレイ 虫垂炎=右下腹部痛?
虫垂の位置をイメージしよう!
価値の高い虫垂炎のフィジカル
OKロールプレイ 右下腹部痛以外にも注目しよう!
症例振り返り
腹痛を起こす病気
肝臓と胆嚢のフィジカル

症例3:急変
この患者さんは急変? 大事なのは見極めること!
悪くなりそうな患者さんを見逃さないために、ポイントを押さえよう!

症例紹介:急変
NGロールプレイ これは急変?
急変患者こそフィジカル!
価値の高いショックのフィジカル
OKロールプレイ ABCDEに注目しよう!
まとめ

症例4:体液管理
体液量はフィジカルで評価できる!? どこをみて、どう考えるか学ぼう!
症例紹介:体液管理
NGロールプレイ 患者さんは良くなっている?
価値の高い体液量評価のフィジカル
体液量をみるときのポイント
OKロールプレイ 体液量の評価を実践しよう
おまけ 浮腫のみかた

症例5:呼吸苦
大切なのは分解して考えること! 自信が持てる聴診のコツを伝授します!
症例紹介:呼吸苦
NGロールプレイ これでOK? 呼吸音の聴診
聴診は分解して考える
吸気の時相の密接なかかわり
OKロールプレイ 時相と部位を意識した聴診
まとめ

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スライド資料送付つき版 税込 \8,000
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講師の著書のご紹介



だけでいい!フィジカルアセスメント

外来でも病棟でもこの1冊
だけでいい! フィジカルアセスメント
「学びにくい」が学びやすい! ホンモノ所見動画+イラストで体の診かたがわかる


55本の動画で身体所見がばっちり見える!
フィジカルアセスメントの方法は習ったけれど、実際の所見の診かたが分からない、なんて人、いませんか? そもそも異常所見はタイミングよく現れてくれないし、異常を異常として認識することは難しいもの。外来や病棟でよく遭遇する“ホンモノ”の所見動画・写真が満載の本書が、「学びにくい」「教えにくい」を解消。日々の経過を追う力、異常を見極める力を磨く“見える・わかる”が詰まった一冊。研修医にもおすすめ。

目次


【序章】
フィジカルアセスメント、まずはここから


【第1章】
レベル1 日々変化するフィジカル


1 バイタルサイン①体温と呼吸
2 バイタルサイン②心拍/脈拍数と血圧
3 バイタルサイン③意識
4 体液量(ボリューム)
5 浮腫
6 ショック①ショックの認識
7 ショック②ショックの分類
8 貧血
9 肺音
10 胸水・腹水
11 腹膜刺激徴候
12 虫垂炎
13 その他の腹部所見
14 関節痛

【第2章】
レベル2 発見するためのフィジカル


1 リンパ節腫脹を見つける
2 パーキンソニズムを見つける
3 肝硬変を見つける
4 COPDを見つける
5 感染性心内膜炎を見つける
6 振戦を見つける
7 クッシング症候群を見つける
8 入院中の発熱の原因を見つける

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発行:2023年4月
サイズ:B5判 128頁
価格:2,860円(税込)
ISBN:978-4-8404-8171-7