こんにちわ。
前回からスワンガンツカテーテル(ガンツ)についてお話ししています。そのなかでフォレスターの分類をご紹介しました。
フォレスターの分類は、循環器系疾患の治療を行う際に、基本となる指標です。いま、どのような循環動態なのか? それを知るためには、ガンツをして心係数と肺動脈楔入圧を出せばわかるんですね。
フォレスタ―分類でわかること
フォレスター分類の縦軸は、どれくらい心臓が血液を拍出しているか?を表すために心係数っていうのを使っています。心係数が2.2以上であれば正常で、2.2以下であれば心臓から血液が十分に拍出できていない(低心拍出)ことを示します(図1)。
横軸はどれくらい血液がスムーズに循環しているか? それを表すために肺動脈楔入圧を使います。18を境界値として、18以上であれば血液の循環が悪い=うっ血しているという状態です。こんなときに肺を見てみると肺に水が溜まっている肺水腫の状態、いわゆる心不全の状態にあると言えます。
これは、#015、#016でお話ししたノリア・スティーブンソン分類と同じことを示しています(図2)。ノリア・スティーブンソン分類は患者さんの手足を触って評価しますが、フォレスター分類ではガンツを利用するのです。
ガンツは、侵襲的な検査なのでそう簡単にはできません。救急や急変のときには循環動態を手足を触るだけで評価できるノリア・スティーブンソン分類は役立つかもしれませんね。
ガンツで得られるデータはこれだけではありません。さまざまなことがわかります。詳細については次回以降にお話ししますね。
スワンガンツカテーテルの必要物品と手技の流れ
今回はガンツをするときに必要なものをご紹介しましょう(図3)。ここでは、カテ室で挿入するガンツのお話をします。集中治療室や心外手術などのために手術室で挿入するときは若干違いますのでご注意ください。
ガンツに必要なものは次の通りです。
・スワンガンツカテーテル
・三方活栓(2個)
・局麻セット
・シース
・5または10mLシリンジ
・18G注射針
・凍った生理食塩水(100mL)
挿入の方法は、
①まず局所麻酔をします。挿入部位は右の内頸静脈または右上腕静脈のどちらかが多いです。
②シースを挿入します。
③スワンガンツカテーテルを挿入します。
④スワンガンツカテーテル先端を経静脈的に右心房→右心室→肺動脈→右または左肺動脈に挿入します。
⑤心内圧を測定(肺動脈楔入圧・右または左肺動脈圧)します。
⑥心拍出量を測定します。
・スワンガンツカテーテルをポリグラフに接続する。
・5mLまたは10mLシリンジに18G注射針を取り付けて、凍った生理食塩水の溶けた分を吸う→シリンジを冷やす。
・5mLまたは10mLの生理食塩水を吸う。
・心拍出量を測定する。
※5mLか10mLかはポリグラフの設定によります。
⑦心内圧を測定します(肺動脈楔入圧→肺動脈圧→右心室圧→右心房圧→下大静脈圧)。
といった感じでガンツは行われます。
次回以降は心内圧についてお話しますね。
では、今回もお付き合いありがとうございました。
新生会総合病院 高の原中央病院
臨床工学科 MEセンター
西日本コメディカルカテーテルミーティング(WCCM)副代表世話人
メディカセミナー『グッと身近になる「心カテ看護」~カテ出しからカテ中の介助、そして病棟帰室後まで~』など多数の講演や、専門誌『HEART NURSING』、書籍『WCCMのコメディカルによるコメディカルのための「PCIを知る。」セミナー: つねに満員・キャンセル待ちの大人気セミナーが目の前で始まる! 』など執筆も多数。