みなさんこんにちは!

前々回(#058)、前回(#059)と、安心・安全に心カテを受けていただくための私たちの具体的行動についてお話をしています。今回も引き続き患者さんをお迎えするときのシチュエーションを考えてみましょう。

カテの危険予知の第一関門~患者さんがカテ台に寝るまで

患者さんがカテ室に入ってこられて、最初にパッと目に写る光景はイラストのような感じではないでしょうか。




カテ台に登るとき
まずは、患者さんはカテ台に登らなくてはなりません。多くの施設では手すりのない階段が用意してあるのではないでしょうか?

この階段には手すりがなく、登れるか不安な方もおられるはず。「サポートしますよ!」という声かけと、両脇を抱えることが、患者さんの安心につながるでしょう。足腰が不自由な方、メガネを外されて来られている方、いつもとは違う状態で、心もとない階段を登らなくてはなりません。しっかりとサポートしましょう。


カテ台が狭い
階段を登ってもまた難関が。今度はカテ台が狭く背もたれも柵もありません。

また、掴むと動いたり外れたりするパーツもあります。カテ台の両サイドに一人ずつ必ず付くようにしましょう。後ろ向けに転げ落ちてしまうかも知れません。患者さんの手の置き所も明確に示してあげましょう。


カテ台のマット
カテ台にはマットが敷かれていると思います。このシートは特に固定をしていないことが多いです。ズリズリとすることでマットがずれてしまう可能性があります。

特にベッドでカテ室入室されたとき、スライドで患者さん移動したときにはマットがずれていないか確認しましょう。


ベッドからの移乗
ベッドからカテ台の移乗は必ずスライダーを使って移乗しましょう。ベッドのストッパーが確実にかかっていることを確認し、点滴や尿バックなどが引っ張られないかを確認して、複数人で移譲するようにしましょう。

カテ台は、ボタンひとつで軽いチカラで自由に動きます。患者さんがお元気だからといって、自力でベッドからカテ台に移乗するのはとてもとても危険です。ボタンを押すつもりでなかったとしても、例えば、たまたま毛布などをカテ台にポンと置いたときにボタンが押されてしまって、カテ台が動き、患者さんがベッドとカテ台の隙間に落ちてしまう恐れもあります。

また、患者さんが移乗するときにカテ台を押してしまって、ロックがかかっていたとしても強い力によりグリッと動いてしまうこともあります。

絶対に患者さん自力の移乗は危険です。やめましょう!


完全に仰向けになるまで
放射線装置で映る範囲が決まっているので、患者さんの頭をカテ台の上限ギリギリに合わすようにしましょう。カラダの位置を合わすときも必ず両サイドにスタッフが立って手を添えて位置を合わすようにしましょう。

患者さんが仰向けになって、手台を入れるまで両サイドから離れないようにしましょう。そのためにも患者さんがカテ台に登る前、カテ室入室前に手台の両サイドをサポートする人が、その場から手を伸ばせば届く範囲に準備しておきましょう。


最後にもう一つ
腰の下に敷物を敷く場合があります。無理に押し込むのでなく、患者さんに両膝を立ててもらって、両サイドに立ったスタッフがサポートしながら腰を上げてもらうようにしましょう。

その後は、患者さんには必ず手や足を動かさないように協力してもらうように声かけをしましょう。


今回は、カテ室入室時のシチュエーションについて患者さんの安全を考えてみました。カテ室入室だけでも危険なシーンはたくさんあります。危険予知をすることによって患者さんを安全にサポートしましょう。

今日はここまで。
ありがうございました。

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プロフィール:野崎暢仁
新生会総合病院 高の原中央病院
臨床工学科 MEセンター
西日本コメディカルカテーテルミーティング(WCCM)副代表世話人

メディカセミナー『グッと身近になる「心カテ看護」~カテ出しからカテ中の介助、そして病棟帰室後まで~』など多数の講演や、専門誌『HEART NURSING』、書籍『WCCMのコメディカルによるコメディカルのための「PCIを知る。」セミナー: つねに満員・キャンセル待ちの大人気セミナーが目の前で始まる! 』など執筆も多数。