消毒薬の選択と使用|感染症看護専門看護師に聞く!新型コロナウイルス感染予防の実際:集団感染事例に学ぶ!現場の実態とは?|#006

みなさんこんにちは。感染症看護専門看護師の坂木です。新型コロナウイルスが日本で流行し、約5カ月が過ぎようとしています。緊急事態宣言が解除されましたが、いまでも市中では小さな感染が発生し続けており、いわゆる“くすぶっている”状態が続いています。私たちは大きな流行を一度経験したわけですが、これまでの対策を振り返り、効果があったものとなかったもの、感染のリスクがなんであったのかを見極めることが必要です。本企画では、私が経験したクラスター対策の事例の教訓から、クラスター発生を予防するための基本的な感染対策について全6回にわたってお話しします。(6月20日撮影)

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①環境表面におけるSARS-CoV2の最大生存期間
・エアロゾルや段ボールに比べ、ステンレスやプラスチック表面上には長く生存する

②消毒薬の選択と使用
・エタノールや有機媒体(界面活性剤)で不活化できる

③次亜塩素酸ナトリウム製剤と原液の濃度
・適切な濃度に希釈
・希釈後は最大24時間で交換
・作り置きをしない
・光で濃度が下がっていくため遮光容器で保存
・塩素ガスの大量吸入で間質性肺炎などをひきおこすリスクがあるため噴霧禁止
・消毒後は十分に換気

④次亜塩素酸ナトリウム溶液の濃度
・高頻度接触面や器材:0.1~0.5%
・高頻度接触面や物品:0.05%
・患者の使用したトイレ:0.1%
・広範囲での使用を避けピンポイントで使用する

⑤塩素系洗浄除菌剤ルビスタⓇ
・エビデンスは十分ではないが同じコロナウイルスのMERSで使用された

⑥リネン・スタッフのユニホームの洗濯
・従来の洗濯方法でよい
・感染者への偏見や差別につながるような過剰な対応は控える

⑦COVID-19の感染対策
・日常的な感染対策の質を高めておく
・危険なのは“漠然とした恐怖や不安”で、微生物を知って正しく怖がることが大切
・感染対策は足し算しすぎると続かなくなるため、基本に準じた正しい方法をシンプルに行っていく

これまで6回にわたり、COVID-19の感染対策について解説してきました。いまたくさんの人々の努力によって大きな波を一つ乗り越えられたと思います。しかし残念ながらウイルスがいなくなったわけではないため、また流行が発生する可能性は十分にあります。

大きな流行に見舞われなかった地域の人たちは、どのくらい準備ができているでしょうか。患者が押し寄せて寝る暇もなかった人たちは、一息つけたでしょうか。心がいっぱいいっぱいになって、苦しい日々があったのではないかと思います。いったん沈静化し少し時間ができました。いまのうちに準備をしておきましょう。

新型コロナウイルスの院内感染対策でも基本は標準予防策です。いまが遵守向上のチャンスです。いつかこのパンデミックが終了したら、いまよりも良い病院になっていることを信じています。

坂木晴世
独立行政法人国立病院機構西埼玉中央病院 感染管理担当専従看護師。現在の所属施設に就職後、2002年感染管理認定看護師資格取得。大学院在学中の2009年に感染症看護専門看護師資格取得。2010年東京大学大学院医学系研究科博士後期課程修了。2010年より現職。




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