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COVID-19の患者の病室は、必ずしも陰圧である必要はありません。飛沫感染するけれども、空気感染しないからです。しかし、挿管・人工呼吸の管理を実施するときにはエアロゾルが室内に浮遊する可能性があるので、空気予防策が必要となり、陰圧室に患者を入室させます。

このとき、室内の空気圧が廊下や隣室に比較して陰圧であることをモニターするのですが、それは機械的な確認のみならず、スモークチューブや細い紐などを用いた視覚的な確認も必要です。モニターを行う機器が故障していて陰圧でないことに気付くのが遅れることを避けるためです。

病室に入室している患者は、医療従事者が室内にいるときには飛沫の飛散を抑えるために、サージカルマスクを着用します。そして、咳やくしゃみをするときには、咳エチケットを実施します。

具体的には、ティッシュなどを用いてマスクの上から覆い、飛沫がマスクの周囲から漏れ出さないようにします。その後の手指消毒も忘れないようにします。病室に医療従事者がいなければサージカルマスクの着用は必要ありません。

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矢野邦夫

浜松医療センター 副院長 兼 感染症内科部長
医学博士、浜松医科大学 臨床教授、産業医

1981年に名古屋大学医学部卒業。名古屋掖済会病院、名古屋第二赤十字病院、名古屋大学第一内科、米国フレッドハッチンソン癌研究所、浜松医療センターを経て米国ワシントン州立大学感染症科エイズ臨床短期留学。米国エイズトレーニングセンター臨床研修終了後、1997年に浜松医療センター感染症内科長、衛生管理室長に着任。2008年7月より同副院長(現職)。

インフェクションコントロールドクター、感染症専門医・指導医、抗菌化学療法指導医、血液専門医、日本輸血学会認定医、日本内科学会認定医、日本エイズ学会認定医・指導医、日本感染症学会、日本環境感染学会 評議員。

著書に、ねころんで読めるCDCガイドラインシリーズねころんで読める抗菌薬シリーズ(メディカ出版)、エビデンスに基づいた抗菌薬適正使用マニュアル(メディカ出版)など多数。



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