看護師クリエイティブプロジェクト「fractale」のみなさんが、毎回テーマに沿ってそれぞれの看護の足跡を残していく本企画。

「学びかたを学ぶことで看護師として生きる選択肢をふやしていく」ことをコンセプトに立ち上げたメディア「メディカLIBRARY」のスタッフが、毎回、フラクタルのみなさんにテーマを伝えています。

今回のテーマは「オンコール」です。

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訪問看護とは切っても切り離せないもの、それがオンコール。
これが、結構な負担だ。

理由は2つある。

1つ目は自由が制限されること。
休日ならまる1日。
平日は夜間。

平日、仕事を終えてビールを飲んで1日を締めたい、そして、休日は昼間から横浜のおしゃれなテラス席でシャンパンを飲みたいわたしだが、オンコールの日はそれが制限される。
ごめんなさい、かなり盛って話しましたが、休日に横浜でシャンパンは嘘です。
わたしはそんなにキラキラした者ではありません。
自由とお酒をこよなく愛するただの三十路です。

脱線しましたが、予定を好きに入れられない、お酒を好きに飲めないのは、想像以上に束縛されている感じがして、非常に窮屈なんです。

2つ目の理由。
それは、言いようのない不安がつきまとうこと。
オンコールの日は、仕事用の携帯をつねに隣に置いておかないといけない。
この携帯、夜中でも、入浴後の防御力ゼロの状態でも、いつでも鳴る可能性がある。
しかも、どんなときでも気付くように音は非常に大きく設定してある。

苦痛このうえない。
とは言いつつも、鳴ったらもちろんちゃんと対応する。
でも、自分の判断で対応するので、少なからず不安はあり、わたしの場合、一度鳴ったらその後が気になってほとんど眠れなかった。
この点だけでいうと、訪問看護に向かないと自分でも思う。
けど、訪問看護でオンコールは避けられません。


そんな苦痛やつらさを感じながらも訪問看護が好きで訪問看護の世界にいる人は多いと思う。
すこしでもその苦痛を減らすためにできること。
それは、「日々の訪問」、これに尽きると思う。

もちろん、想定外の状態変化もあるし、想定内の連絡もあるから、電話を完全に鳴らない状態にするのは不可能だと思う。
でも、日勤帯で解決できることも多いし、日々の訪問をきちんとやっていれば、電話の回数を確実に減らすことができる。
例えば、不安の強い利用者さんであれば、起こり得ることや対応を事前に丁寧に、もちろん不安をあおらないように説明しておくこと、時間を空けるのが不安な利用者さんであれば訪問回数や時間を調整すること、入退院を繰り返す利用者さんであれば、状態変化の徴候をきちんと把握し、主治医と連携しておくこと、など。
まさに、看護師に必要なアセスメントと予測ですね。
訪問看護の場合、そこからの対応力が求められます。

結局のところ、日々の積み重ね。
1つひとつ丁寧に、確実にやっていくしかないですね。

//バックナンバー//

#001 はじめての尿道カテーテル
#002 なにがなんだかわからないケンサチ
#003 大きいからポケットには到底入らない
#004 家族じゃないからこそできること
#005 経管栄養とは
特別編 在宅は1人の感染が命取り
#006 自分にできることをやろう
#007 戦いは前日から
#008 波形だけじゃないよ、心電図モニター
#009 大切な人
#010 Positioning


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fractale~satomi~
twitter:自由人ナースさとみ(@minisatominy

三度の飯よりお酒が大好きな飲兵衛看護師。仕事終わった瞬間からが本番だと思っている。仕事は真面目な自信あり。大学病院消化器外科3年、民間病院ICU2年、公立病院脳外科夜勤専従、訪問入浴、デイ、老健など1年の派遣生活を経て、メルボルンへ10ヶ月の看護留学。帰国後から訪問看護師として働き3年目。座右の銘は「笑う門には福来たる」。根からの明るい性格を最大限に利用し、日々楽しく訪問中。マルチポテンシャライトだから特技っていう特技はないけど、強いて言えばラポール形成が無駄に得意。今までクレームや担当変更がないのが密かな自慢。ちゃっかり保健師免許所有。 

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