小さな気遣い、大きな違い|大事なことはぜんぶ臨床で学んだんだ|satomi|#012

看護師クリエイティブプロジェクト「fractale」のみなさんが、毎回テーマに沿ってそれぞれの看護の足跡を残していく本企画。

「学びかたを学ぶことで看護師として生きる選択肢をふやしていく」ことをコンセプトに立ち上げたメディア「メディカLIBRARY」のスタッフが、毎回、フラクタルのみなさんにテーマを伝えています。

今回のテーマは「好きな手技」です。

---------------------

病院でのケアと在宅でのケアは、使用するものが「病院のもの」か、「家で用意できるもの」かの違いがあるけど、方法自体はさほど変わりません。

家にあるもので、といわれても、具体的にイメージしにくい方もいるかもしれないので、一般的なものを少し挙げてみます。
陰洗ボトルはペットボトルで代用。
点滴台はハンガーやフックを壁に引っ掛けて代用。
ケリーパッドはバスタオルとビニール袋を活用して代用。
こんなところでしょうか。

ビニール袋はあらゆるところで大活躍するからわたしは常備しています。
物資が限られているので、“おばあちゃんの知恵袋”的なものや、“発想の転換”が生きる現場だと思います。


さて、本題。
本日は手技のお話です。


わたしの得意な、というか好きな手技は「入浴介助」です。
なぜかというと、完全にリラックスして、ふにゃっとした利用者さんの笑顔が見られるからです。
赤ちゃんの笑顔がみんなを幸せにするように、その笑顔がわたしの気持ちをいつも穏やかにさせます。


持論ですが、入浴、とくに在宅での入浴の満足度を上げるには、いかに「気遣い」できるかだと思っています。
時間がかけられるぶん。


セラピストさんの利用者さんへの触れ方を体験したことのある方いらっしゃいますか?
強すぎず、優しすぎず、包まれるような、すごく心地のよい触れ方なのです。
“触れ方ひとつでこんなに受け取る側の心地よさが変わるんだ!”と、すごく驚いたのを覚えています。


このように、“触れ方”1つに気遣うだけでも、印象が変わります。
身体に直接触れる機会が多くて、工程の多い入浴介助は、まさに“気遣い”の集大成だと思います。

たとえば……思いつくままに挙げてみます。

利用者さんの好みの温度調整、好みのお湯の量、入る前には浴室内や脱衣所を温めておき、温度差がないように準備する。
シャワーチェアに座る前に、冷たくないようにきちんと温めておく。
冷えやすい肩や背中は看護師がシャワーやかけ湯で温める。
洗う手順、力加減、方法はその人のやり方に合わせる。
顔が濡れていたら拭く。
足先、趾間まで丁寧に洗う。
入浴時間もその人によりけりだから、それも極力合わせる。
「この動作やりにくそうだな」という視点から、あらたな介助方法や福祉用具の選定につなげ、より安全で安楽な方法を考えていく。
楽しい時間になるように心がける。
もちろん羞恥心や着替えの場所なども、きちんと配慮する。


とまあ、書いてはみたものの、正直、キリがありません。
そのくらい、気遣うところは多くあります。
これらって教科書には書いていないんですよね。


もちろん、基礎疾患のある方なので、すべて希望どおりに、とはいきません。
至極の時間ですが、同時に日常生活動作で一番、身体への負荷がかかるのも事実です。
現に、入浴中の事故は年間1万件を超えています。安全への配慮と入浴可能かどうかのアセスメント能力は不可欠です。


利用者さんの満足度と安全性を考え、看護師の立場からサポートする。

入浴介助は単純そうにみえるけどとても奥が深いです。
考えることが多いぶん難しいし、介助量も多くて夏なんかはとくにしんどいですけど、利用者さんのニコニコ笑顔を見ちゃうと病みつきになっちゃうんですよね。

//バックナンバー//

#001 はじめての尿道カテーテル
#002 なにがなんだかわからないケンサチ
#003 大きいからポケットには到底入らない
#004 家族じゃないからこそできること
#005 経管栄養とは
特別編 在宅は1人の感染が命取り
#006 自分にできることをやろう
#007 戦いは前日から
#008 波形だけじゃないよ、心電図モニター
#009 大切な人
#010 Positioning
#011 丁寧に、確実に


-----------------------------
fractale~satomi~
twitter:自由人ナースさとみ(@minisatominy

三度の飯よりお酒が大好きな飲兵衛看護師。仕事終わった瞬間からが本番だと思っている。仕事は真面目な自信あり。大学病院消化器外科3年、民間病院ICU2年、公立病院脳外科夜勤専従、訪問入浴、デイ、老健など1年の派遣生活を経て、メルボルンへ10ヶ月の看護留学。帰国後から訪問看護師として働き3年目。座右の銘は「笑う門には福来たる」。根からの明るい性格を最大限に利用し、日々楽しく訪問中。マルチポテンシャライトだから特技っていう特技はないけど、強いて言えばラポール形成が無駄に得意。今までクレームや担当変更がないのが密かな自慢。ちゃっかり保健師免許所有。 

about fractale
https://fractale3.com/satomi/