//この連載シリーズ・バックナンバーを読む//
//そのほかの新型コロナウイルス感染症/感染対策関連記事を読む//

COVID-19とインフルエンザの伝播するスピードを比較したいと思います。「基本再生産数」という指標がありますが、これは1人の感染者が、誰も免疫を持たない集団に加わったとき、平均して何人に直接感染させるかという人数のことです。インフルエンザの基本再生産数は1~2に対してCOVID-19は2.0~2.5であり、インフルエンザよりも大きい値を示しています。

これだけを見るとCOVID-19の方が伝播のスピードが速く思われますが、「潜伏期間」「発症間隔」も考慮しなければなりません。インフルエンザの潜伏期間は1~3日ですが、COVID-19は5日です。また、インフルエンザの発症間隔は3日ですが、COVID-19は5~6日です。

これらを総合して考えると、“インフルエンザの方がCOVID-19よりも伝播するスピードは速い”ということになります1)

*:感染源の発症から2次感染者の発症までの間隔

≪参考文献≫
1)WHO.Q&A: Similarities and differences –COVID-19 and influenza.
https://www.who.int/docs/default-source/coronaviruse/situation-reports/20200306-sitrep-46-covid-19.pdf?sfvrsn=96b04adf_2

-----------------------------
矢野邦夫

浜松医療センター 副院長 兼 感染症内科部長
医学博士、浜松医科大学 臨床教授、産業医

1981年に名古屋大学医学部卒業。名古屋掖済会病院、名古屋第二赤十字病院、名古屋大学第一内科、米国フレッドハッチンソン癌研究所、浜松医療センターを経て米国ワシントン州立大学感染症科エイズ臨床短期留学。米国エイズトレーニングセンター臨床研修終了後、1997年に浜松医療センター感染症内科長、衛生管理室長に着任。2008年7月より同副院長(現職)。

インフェクションコントロールドクター、感染症専門医・指導医、抗菌化学療法指導医、血液専門医、日本輸血学会認定医、日本内科学会認定医、日本エイズ学会認定医・指導医、日本感染症学会、日本環境感染学会 評議員。

著書に、ねころんで読めるCDCガイドラインシリーズねころんで読める抗菌薬シリーズ(メディカ出版)、エビデンスに基づいた抗菌薬適正使用マニュアル(メディカ出版)など多数。



▼ 指導ツール集 公開中 ▼



提供:INFECTION CONTROL
https://www.medica.co.jp/m/infectioncontrol/




FitNs.