「学びかたを学ぶことで看護師として生きる選択肢をふやしていく」ことをコンセプトに立ち上げたメディア「メディカLIBRARY」のスタッフが、毎回、フラクタルのみなさんにテーマを伝えています。
今回のテーマは「後輩教育」です。
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訪問看護の大きな課題の1つは「教育」だと思います。
在宅での教育の柱となるのは「知識」「技術」「在宅ならではの考え方」だと考えています。
慢性的な人手不足もあり、以前に比較し訪問看護師の採用基準も低くなりました。
新卒の訪問看護師も増えてきています。
いっぽうで、多くのものが求められ、1人ひとりの責任が大きいことには変わりありません。
そんなこんなで、現場に求められる看護師のペルソナ像と現実との乖離が出始めているんじゃないかな、なんて、実感しています。
そして、その乖離を埋めるための「教育」が難しく、なかなか十分な時間も取れないんですよ。
まずは「知識」。
これは正直自分次第でなんとかなります。
どんなに年数を重ねても、学習を怠る人はいないんじゃないでしょうか(そう信じています)。
ベースとなる知識はあったほうが、現場でつなげ、今後に活かすことができます。
次に「技術」です。
在宅では場数が圧倒的に少ないので、技術を磨くには難しい現場だと思う。
でも、技術面も、積極的に同行させてもらったり、実施させてもらったり、場面がないのであれば外部研修などで補うこともできる。
これも自分次第だと思っています。
教える側もやるならていねいにしっかりと教えたい。
ですが、マンパワー的にじっくりと時間がとれないことがあります。
救いなのは、「知識」「技術」は正しい、正しくないが明確なので教えやすいことです。
反対に、教えていて難しいな、と思うところは、「在宅ならではの考え方」です。
病院での治療ベースの考え方から、利用者さんの生活ベースに考え方をシフトしなければならない。
むしろ、知識よりも技術よりもここが大事だと思っています。
判断基準は利用者さんだから、自分の提案やかかわりで本当に合っているのか、厳密にはわからない。
でも、そんなあいまいなものを教えなくてはならない。
そのときそのときによって状態も環境も違うから、次も同じ対応で良いかと言われるとそうでもない。
慣れてきても難しいのだから、慣れないうちはもっと難しい。
残念ながら、教え方の問題ももちろんあると思うけど、在宅の考え方にシフトできない人もちらほらいるような気がしています。
もちろん、慣れている人でも、自分の看護や考え方が凝り固まってしまうのもよくない。
だから、チームで力を合わせて利用者さんにとっていちばん良い方法を考えていくことが必要だと思います。
自分の考え方に自信がない人もいるでしょう。
だけど人数の少ない訪問看護だからこそ1人の意見て、とても価値があります。
そのぶん、選択肢が広がるわけですから。
ときどき、考えすぎて「うあぁぁぁぁぁぁぁ!」って叫びたくなります。
こればっかりは日々悩み、奮闘しますが、いまだにスッキリしません。
//バックナンバー//
#001 はじめての尿道カテーテル
#002 なにがなんだかわからないケンサチ
#003 大きいからポケットには到底入らない
#004 家族じゃないからこそできること
#005 経管栄養とは
特別編 在宅は1人の感染が命取り
#006 自分にできることをやろう
#007 戦いは前日から
#008 波形だけじゃないよ、心電図モニター
#009 大切な人
#010 Positioning
#011 丁寧に、確実に
#012 小さな気遣い、大きな違い
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fractale~satomi~
twitter:自由人ナースさとみ(@minisatominy)
三度の飯よりお酒が大好きな飲兵衛看護師。仕事終わった瞬間からが本番だと思っている。仕事は真面目な自信あり。大学病院消化器外科3年、民間病院ICU2年、公立病院脳外科夜勤専従、訪問入浴、デイ、老健など1年の派遣生活を経て、メルボルンへ10ヶ月の看護留学。帰国後から訪問看護師として働き3年目。座右の銘は「笑う門には福来たる」。根からの明るい性格を最大限に利用し、日々楽しく訪問中。マルチポテンシャライトだから特技っていう特技はないけど、強いて言えばラポール形成が無駄に得意。今までクレームや担当変更がないのが密かな自慢。ちゃっかり保健師免許所有。
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