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「COVID-19の患者に濃厚接触したが無症状である」「新型コロナウイルス感染症が疑われて、PCR検査を予約している」「PCR検査を実施して結果を待っている」といった人々が数多くいます。今後は、軽症の患者や回復期の患者は在宅で経過をみることになるかもしれません。そのような人々は自宅に滞在して、外出を控えることになりますが、同居家族はどのような対応をすればよいでしょうか?

家族内感染は是非とも避けたいところです。もちろん、家族とは別の部屋にいてもらうように指導しますが、その他の在宅感染対策の啓発も必要です。

最初に、手指衛生の重要性を啓発します。手洗いは最も重要な感染対策であり、それは家庭内でも同様です。「石けんと水道水による手洗い」もしくは「アルコール手指消毒」のどちらかを行います。

次に、ドアノブや手すりといった「手指の高頻度接触表面」の清掃を強化するように指導します。家庭用漂白剤を薄めたもので1日に2回ほどの清掃とします。換気も大切であり、1時間に1~2回程度の窓の開放をするか、換気扇をつねにonにしておきます。

食器については洗剤と水道水による洗浄で十分です。食洗器も有効です。食器を使い捨てにする必要はありません。衣類についても洗濯機で洗えば、ウイルスは大量の水道水で洗い流されてしまうので、洗濯後の衣類が感染源になることはありません。

風呂は感染が疑われる人は、最後にします。そして、風呂にはいるときのバスタオルの共有はしません。顔拭きタオルも共有しません。感染者が用いたタオルを別の人が使用すると、眼、鼻、口の粘膜に触れることになり、感染する危険性があるからです。

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矢野邦夫

浜松医療センター 副院長 兼 感染症内科部長
医学博士、浜松医科大学 臨床教授、産業医

1981年に名古屋大学医学部卒業。名古屋掖済会病院、名古屋第二赤十字病院、名古屋大学第一内科、米国フレッドハッチンソン癌研究所、浜松医療センターを経て米国ワシントン州立大学感染症科エイズ臨床短期留学。米国エイズトレーニングセンター臨床研修終了後、1997年に浜松医療センター感染症内科長、衛生管理室長に着任。2008年7月より同副院長(現職)。

インフェクションコントロールドクター、感染症専門医・指導医、抗菌化学療法指導医、血液専門医、日本輸血学会認定医、日本内科学会認定医、日本エイズ学会認定医・指導医、日本感染症学会、日本環境感染学会 評議員。

著書に、ねころんで読めるCDCガイドラインシリーズねころんで読める抗菌薬シリーズ(メディカ出版)、エビデンスに基づいた抗菌薬適正使用マニュアル(メディカ出版)など多数。



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