「学びかたを学ぶことで看護師として生きる選択肢をふやしていく」ことをコンセプトに立ち上げたメディア「メディカLIBRARY」のスタッフが、毎回、フラクタルのみなさんにテーマを伝えています。
今回のテーマは「はじめての心電図」です。
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心電図は新人時代、毎日のように使っていた。
そのころ働いていた回復期病院では、入院時に「体温、血圧、心電図」の順番で看護師が取っていたから。
それを入職時に知った僕は、必死に心電図の取り方について教科書を見て学んでいた。
「電極をつける作業」なんていま思えば簡単に思う。
ノイズが乗ってきれいじゃなければ、きれいになるまで取ればいい。
今ならそう思うけど、新人時代は「電極装着したら一発で取らないと」っていうプレッシャーに押しつぶされていた。
電極の位置もそう。
なんせ一発でOKじゃないとだめって思ってた。
肋骨の場所、装着部位を何度も教科書で見て、入院患者さんに対応しようとしていた。
完全に頭でっかちで、知識だけを詰め込んだ状態で、いよいよ入院患者さんがきた。
このとき先輩看護師さんが一緒に心電図をやってくれた。
問題なく一発で電極装着、一発でノイズなしのきれいな波形が出た。
よし!
最高にうれしかった!!
さて、このあと先輩看護師と振り返り。
先輩看護師は「心電図の電極、患者さんに横になっていただき、乳首と乳首の間に2箇所、左右均等に赤と黄色を貼るでしょ? そのあと、乳首の下付近に茶色を貼って、茶色と黄色の間に緑色。紫色をわきの下の延長に貼って、残った黒は茶色と紫の間に貼ればいいのよ。で、ノイズが乗ったりしたら、電極の位置を少しだけずらしたりすれば大丈夫よ。」と。
なるほど……。
第四肋間とか関係なく、乳首の場所か。
もちろん胸の大きい人には向かないかもだけど、これだけ覚えればスッと患者さんに装着できる。
この先輩の教え方、すごいなと思った。
臨床経験が少ないと、数字や教科書の文字にこだわってしまう。
けれど、実際に患者さんとものすごい回数かかわっている臨床経験豊富な看護師さんは、こういう「フィーリング」で働くんだなと学んだ。
いま10年目の看護師として思うのは、この「フィーリング」っていろいろな場面で使えるなと思う。
あいまいではだめ。けれど、「節度のあるあいまいさ」という矛盾しそうなテクニックこそ、看護師が患者さんと接するうえでの「隠し道具」なのかもしれないですね。
//バックナンバー//
#001 はじめての尿カテ
#002 大好きな検査値
#003 ナース服のポケットに忍ばせたメモ
#004 患者の死
#005 はじめての経管栄養
#006 新人のうちはアラームになれ
特別編 いまこの時代に精神科看護師として働くこと
#007 夜勤前のルーティーン
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fractale~mizuki~
twitter:mizuki@おぬ 9年目看護師(@c_mikzuki)
乗り物好きな看護師。事務職、データベースエンジニアを経て31歳で看護師に。脳外科、回復期、精神科病棟を経験。その後は在宅医療を経験し、再度精神科病棟へ。看護師クリエイティブプロジェクト「fractale」管理者。医療メディア「メディッコ」メンバー。看護師のキャリアについて考える「ナスキャリ部!」副部長(仮)。その他多数プロジェクトに参加。好きな言葉は「まだ見ぬ誰かの笑顔のために」。好きな看護技術はひげ剃り(その他ほぼ不得意)。好きな看護業務はリーダー業務。好きな都バスの路線は【業10】新橋~とうきょうスカイツリー駅前。
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