“認定看護師”という自分の役割が、学びを後押ししてくれる|学びカンタービレ|#012|小堤恵梨さんと白石弓夏さん(後編)

看護師兼ライターの白石弓夏です。

看護師として現場で働いていると、“継続的に学びが必要である”と痛感することがあります。大人になってからの『学び』は、自分のなかに落とし込み、現場で活用できるか、応用できるかが重要になってくると思います。みなさんは実際にどのように『学び』を深めているでしょうか。

この連載では、さまざまな場所で活躍されている看護師にインタビューを行い、自身の『学び方』について、一緒に考えてみようと思います!

今回は新生児集中ケアの認定看護師として働く、小堤恵梨さんです。

※前編はこちら


プロフィール:
2005年看護師免許取得。総合病院の新生児科にて勤務。2018年に新生児集中ケア認定看護師、取得。現在、横浜労災病院のNICUにて、小さく生まれた赤ちゃんや、病気を持って生まれた赤ちゃんの将来的な発達を踏まえた急性期看護を行っている。また、家族のスタートラインを応援、サポート。

白石>前編では認定看護師の教育課程中の勉強方法についてお聞きしました。後編では、認定看護師を取得した後の学び方についてお聞きします。いまは実際にどのように勉強されているのですか?

小堤>基本的な勉強方法は変わっていないと思います。わからないことがあれば、参考書を見て知識を取得します。それに加えて、先行文献を確認することも増えました。文献検索の方法を教育課程で教わってから文献を調べることが楽しくて……。さまざまな人たちが、研究を通して看護を導き出してくれている……これを活用しない手はないと思います。

白石>独学での文献検索方法や読み方ではなく、教育課程でしっかりと方法を教わることができるのは心強いですね。

小堤>そうです。あとは、医師にわからないことを聞くことも増えました。以前は「そんなことがわからないの?」と思われるのが怖くて、聞くことができなかったんです。ただ、調べてもわからないことをそのままにするほうが問題だと気付けるようになったし、経験豊富な医師の話を聞くっておもしろいんですよね。また、学会に参加することでも新しい知識を得ています。去年は興味のあったセッションに参加し、そこで発表されていた人にどうしても聞きたいことがあり、直接話しかけました。今までの私なら考えられない行動ですが、”認定看護師”という自分の役割が明確になったことで、積極性が引き出され、学びを後押ししてくれていると思っています。

終始笑顔でインタビューに答えてくださりました!


白石>ケアを行う当事者としての意識がより強くなったことや、自分の役割が明確になったことで自然と積極性が引き出されるようになったんですね。

小堤>ただ、知識やスキルの維持は難しいですよね……今の私の課題でもあります。指導する場面が増え、直接自分で実践する機会が以前より少なくなったと感じています。昔の自分のほうができたんじゃないかと感じることも……。研修制度などを利用して、新しい場所で修業を積むのもひとつの手かもしれませんね。

白石>小堤さんにとって学びとはどのようなものだと考えていますか?

小堤>私にとって学びは、外部からのはたらきかけで、感覚や心に反応を起こさせる『刺激』のようなものです。しかし、患者さんに寄り添うとき、知識だけではなく、感性を育むことも大事になってくると思っています。私が働いているNICUの話で例えると、私は出産・子育ての経験がないので、明らかにわからない気持ち、くみ取ってあげられない気持ちがあります。まだまだ感性が養われていないところも多いです。そこを補うのは、学びで得た知識ではないかと思っています。

白石>感性は知識によって育まれるということでしょうか。たしかに、看護師に求められるものは、『知識』『技術』『感性と人間性』であると書かれていますね(「これからのナースに実践してほしいこと―日野原重明から医療者へのメッセージ」日野原重明著)。

小堤>今ある知識だけで満足してしまえば、毎日がつまらなく感じてしまうのではないかと思うのです。あと、正直なところ、ほかの人が知っていることを自分が知らないと悔しいんです。たしかに、自分だけですべての知識を習得することは無理だし、私は基本的に怠け者なので人生を『学ぶ』ことだけに時間は割けません(笑)。だけど、そんな負けず嫌いな部分もあるので、できるならいろいろなことを学び、知りたいと思っています。

白石>私も負けず嫌いなところがあるので、わかります(笑)。

小堤>また、医療が日々進歩しているため、学び続けることは看護職の一つの役割なのではないかと思っています。ただ、「役割だから」とだけ考えてしまうと義務感に駆られ、面倒となってしまうので、その『学び』を活かす場を自分なりにつくっていけば、もっと楽しくなるのではないでしょうか。そして、患者さんからいい反応をもらえれば、「あぁ、学んでおいてよかったな」と自分のためにもなる。そんなリターンもあるから学び続けるのだと、私は思います。

白石>役割だからと考えてしまうと、自分の首を絞めてしまってつらくなりそう……。学びを活かす場を自分でもつくっていく、看護師同士や患者さんとも学びあえる場が大事ですね。なかなか学びのその先のことって、考えるのが億劫になってしまいそうですが、自己満足だけで終わらないように、その先のことをしっかりと見据えていきたいと感じました。ありがとうございました!

//バックナンバー//

#001  自分の基盤にどうのせるかで学びを考える|吉岡純希さんと白石弓夏さん(前編)
#002  お互いの領域をリスペクトする|吉岡純希さんと白石弓夏さん(後編)
#003  わからないことを追求する奥深さ|小浜さつきさんと白石弓夏さん(前編)
#004  学生教育から学びを考える|小浜さつきさんと白石弓夏さん(後編)
#005  生きた話を聞く、学び方|落合実さんと白石弓夏さん(前編)
#006  学ぶのは誰のため?|落合実さんと白石弓夏さん(後編)
#007  映像で思い出せるように|中山有香里さんと白石弓夏さん(前編)
#008  失敗してもそこから気づくことが学び|中山有香里さんと白石弓夏さん(後編)
#009  自分の頭のなかだけで完結させない|中村実穂さんと白石弓夏さん(前編)
#010  目標達成までをイメージする、あえて自分を追い込む|中村実穂さんと白石弓夏さん(後編)
#011  基礎に立ち返って学ぶ|小堤恵梨さんと白石弓夏さん(後編)




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白石弓夏
看護師兼ライター。整形外科病棟とクリニック、施設で働きながらライターとして活動中。ポジティブ思考、フットワークの軽さが強み。ライターとして情報収集、発信向けにTwitterをはじめたが、いつのまにか飯テロ垢と化したので、軌道修正中。
Twitter→https://twitter.com/yumika_shi