「学びかたを学ぶことで看護師として生きる選択肢をふやしていく」ことをコンセプトに立ち上げたメディア「メディカLIBRARY」のスタッフが、毎回、フラクタルのみなさんにテーマを伝えています。
今回のテーマは「好きな手技」です。
---------------------
看護技術ってどれもこれも自信がなくて、「好きな手技」っていってもなかなか思い浮かびませんでした。
新人のとき、看護技術のチェックシートなんてものがありまして、プリセプターや先輩に手技を見てもらうんですが、はじめは見学、2回目は見守りのもと実施、3回目は独り立ちみたいな。
あのチェックシートがいやでいやで仕方がなかったです。
とくに僕のきらいな看護技術は「点滴」。
留置針を入れるのも嫌いだし、滴下速度を計算するのもものすごく苦手。
「こんなに科学技術が進んでいるのに、いまだに人に針を刺すなんてアナログすぎる!!」と今も思っています。
さて、それでは「好きな手技」はなんだろう。
いちおう僕は男性看護師であるから、自分が毎日使っている電気シェーバーでの「ひげ剃り」は得意だと思ってます。
電気シェーバーも回転刃だったり往復刃いろいろありますよね。
髭が長く伸びてしまった人は電気シェーバーは向かないと思われがちですが、電気シェーバーについている「トリマー」というもみあげを揃えたりするのに使う刃で長い髭を切ると、とてもよく髭が剃れます。
あと、皮膚は軽く伸張して剃る。
このあたりがポイントでしょうか。
あと、精神科ならではの「手技」があると思います。
それは「傾聴」。
患者さんの思いを聞いて、どんな気持ちでいるのか、どんな悩みを抱えているのか、そして今後どうしていきたいのか。
そんな思いを「傾聴」という手技を使って引き出します。
「傾聴」という厳密な定義は抜きにして、精神科ではよく患者さんの話を聞きます。
時には病室で、時には診察室で。
オープンな場所で話せることもあれば、誰からも聞かれたくないメッセージを持っていて、その気持ちをぶつけてくる人もいます。
みなさん、「人の話を聞くって疲れるな」って思うことありませんか? 疲れる=それだけ頭をフル回転して相手の話を理解しようと聞いているんだと思います。
精神科看護師も患者さんの話を聞いて、患者さんの気持ちを代弁し、より良い方向へ導く。
そのために患者さんの訴えを聞いています。
しかし、すべてを受け止めてしまっては時として看護師の心がもたなくなる。
なので、必要な情報だけを抜き取る不思議な能力が備わります。
これは経験していかないとできないこと。
こういう「経験の積み重ね」が手技を磨いていくんだなと思います。
手技って回数を重ねれば重ねるほど技術力が上がっていく。
だから恐れずに挑戦していくことが手技に磨きをかけ、自分を成長させるんだなといつも思っています。
//バックナンバー//
#001 はじめての尿カテ
#002 大好きな検査値
#003 ナース服のポケットに忍ばせたメモ
#004 患者の死
#005 はじめての経管栄養
#006 新人のうちはアラームになれ
特別編 いまこの時代に精神科看護師として働くこと
#007 夜勤前のルーティーン
#008 入院時のルーチン
#009 看護師が伝える言葉の重み
#010 体位変換
#011 想像と違うオンコール
-----------------------------
fractale~mizuki~
twitter:mizuki@おぬ10年目看護師(@c_mikzuki)
乗り物好きな看護師。事務職、データベースエンジニアを経て31歳で看護師に。脳外科、回復期、精神科病棟を経験。その後は在宅医療を経験し、再度精神科病棟へ。看護師クリエイティブプロジェクト「fractale」管理者。医療メディア「メディッコ」メンバー。看護師のキャリアについて考える「ナスキャリ部!」副部長(仮)。その他多数プロジェクトに参加。好きな言葉は「まだ見ぬ誰かの笑顔のために」。好きな看護技術はひげ剃り(その他ほぼ不得意)。好きな看護業務はリーダー業務。好きな都バスの路線は【業10】新橋~とうきょうスカイツリー駅前。
about fractale
https://fractale3.com/mizuki/