「学びかたを学ぶことで看護師として生きる選択肢をふやしていく」ことをコンセプトに立ち上げたメディア「メディカLIBRARY」のスタッフが、毎回、フラクタルのみなさんにテーマを伝えています。
今回のテーマは「私だけのコツ」です。
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人にケアをするときの力加減って意外と難しくないですか?
洗髪、清拭、入浴介助、歯磨きなどなど“絶妙な力加減”が絡んでくるケアは案外多いと思います。
新人のころは慣れていないということもあり、おそるおそるやっていました。
自信のなさからか、力を入れすぎて痛いんじゃないかとか余計なことを考えてしまって。その後、先輩に代わったときに「気持ちいい!」と患者さんが言うと“わたしのときは反応薄かったのに……”と、なんともいえない感情になりました。
そこで、自分の日常生活においての力加減を意識してみました。
自分が歯を磨いているとき、身体を洗っているとき、髪の毛を洗っているとき、自分の手はどの程度の力を入れて、どのように動いているのだろう。
今まで意識したことすらありませんでしたが、意識してみると、案外、力を入れていることに気付きました。
患者さんに行ったようにちょっと“おそるおそる”の弱い力で自分を洗ってみると、くすぐったかったです(笑)。
びびってちゃだめですね!
まあもちろん、これはわたしにとってのちょうどいい力加減なので、これが基準ではなく、ケアの際には相手のちょうどいい力加減を探っていく必要があります。
あくまでわたしの場合ですが、聞き方を工夫しています。
「洗う強さはこのくらいだとどうですか?」と聞いてしまうと「大丈夫です」とたいていの人は答えてしまいます。
大丈夫って、本当に大丈夫な場合もありますが、大丈夫じゃない場合も大丈夫と返ってきてしまうこともあるんですよね。
なので、それを避けるためにも、はじめはいくつかの力加減で実施してみて、「このくらい(力弱め)と、このくらい(普通)と、このくらい(力強め)、どれがいいですか?」と聞きます。
そこから「このくらいですね? もうすこし強いとか弱いとかあります?」とすり合わせる感じにしています。
相手も要望を言いやすくなっているのか、「ゴリゴリやっちゃっていいよ!」とか「なでるようにで大丈夫です」とか好みを教えてくれるようになります。
こうなったらこっちのものですね(笑)!
いろいろ知ってくると、人によっては、知られざるちょっとしたルールがあるなど、ほんと、人それぞれで面白いです。
全体像には絡んでこないしカルテにも書かない内容ですけど、相手のこういった情報を知っているというのもなんかうれしいし、看護師ならではですよね。
//バックナンバー//
#001 はじめての尿道カテーテル
#002 なにがなんだかわからないケンサチ
#003 大きいからポケットには到底入らない
#004 家族じゃないからこそできること
#005 経管栄養とは
特別編 在宅は1人の感染が命取り
#006 自分にできることをやろう
#007 戦いは前日から
#008 波形だけじゃないよ、心電図モニター
#009 大切な人
#010 Positioning
#011 丁寧に、確実に
#012 小さな気遣い、大きな違い
#013 訪問看護と教育
#014 オンライン学会に参加して
#015 いちばん苦手な時間
#016 だって、忘れちゃうんだもの
#017 クラシカル訪問看護
#018 生きていく手段
#019 万能なケア
#020 転職は転機になりますよ
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fractale~satomi~
twitter:さとみ(@minisatominy)
三度の飯よりお酒が大好きな飲兵衛看護師。仕事終わった瞬間からが本番だと思っている。仕事は真面目な自信あり。大学病院消化器外科3年、民間病院ICU2年、公立病院脳外科夜勤専従、訪問入浴、デイ、老健など1年の派遣生活を経て、メルボルンへ10ヶ月の看護留学。帰国後から訪問看護師として働き3年目。座右の銘は「笑う門には福来たる」。根からの明るい性格を最大限に利用し、日々楽しく訪問中。マルチポテンシャライトだから特技っていう特技はないけど、強いて言えばラポール形成が無駄に得意。今までクレームや担当変更がないのが密かな自慢。ちゃっかり保健師免許所有。
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