看護師兼ライターの白石弓夏です。

看護師として現場で働いていると、“継続的に学びが必要である”と痛感することがあります。大人になってからの『学び』は、自分のなかに落とし込み、現場で活用できるか、応用できるかが重要になってくると思います。みなさんは実際にどのように『学び』を深めているでしょうか。

この連載では、さまざまな場所で活躍されている看護師にインタビューを行い、自身の『学び方』について、一緒に考えてみようと思います!

今回はハワイ大学がんセンターで働く疫学者、岡田悠偉人さんです。


プロフィール:
聖路加国際大学大学院(MS)修了後に、株式会社を設立。看護部改革や病院再建、医療機関のIT化で多くの実績をあげている。東京・札幌・ハワイにオフィスを持ち、アジア太平洋地域でも事業を展開。普段はハワイ大学がんセンターにて疫学研究を行い、ハワイ大学や関連病院にて講義やコンサルテーションを行っている。

白石>岡田さんは大学院にも行かれていますが、岡田さんにとって、学生時代や看護師になったばかりのころの勉強法とはどのようなものだったのですか。

岡田>看護師はプロフェッショナルな仕事なので、結果で評価されるものだという認識でした。僕は救急で働いていたため、1人でも多くの命を救うところで評価される、と……。だったら、必然的に勉強は必要だろうと考えたわけです。どのように勉強するかということですが、僕はずっとこれを使っています。

実際に使っているノートと鉛筆を見せていただきました!


岡田>uniの2Bの鉛筆とコクヨのA4ノート。もう何十年とこのスタイルです。

白石>このノートには、頭のなかで整理したものを書き出しているんですか。

岡田>だと思うじゃないですか(笑)。じつは、現場で気になったり、わからなかったりしたキーワードをいちばん上のところに書いておいて、あとから調べてまとめて書くんです。このノートには、ほかに1日のスケジュールも書きこんでいます。新人のときなんか、「朝職場に行ってあいさつをする」「バイタルの準備」「採血のシリンジと針の準備」…などとタスクを書き出しておき、やり終わったらどんどんチェックしていました。これを前日にイメージしながら書き出すのが、今も習慣化されていますね。最近だったら、「組織論」とは……と考えることがあったのでメモしてあって、ネットで調べてまとめました。僕の場合は、本で1から勉強するよりも頭に入りやすいみたいです。

白石>新人のときだと、調べる時間や労力もなかなかしんどいと思うのですが、どうしていたのですか。

岡田>家に帰ってからやっていました。そこまで時間を使ってガリガリと勉強するというよりは、大事なところを3つだけまとめる勉強法でした。個人的に『3』という数字が好きで……。隅から隅まで読んで覚えるのではなくて、心不全だったら大事なことを3つに絞ってまとめようと、書き出します。いきなり全部覚えて完璧にするのではなく、まだら状にどんどん埋めていくイメージ。僕は、イメージで考えると頭に入りやすいタイプなので、書いて自分用のノートを作らないと覚えないんです。この方法の何がよかったかというと、情報整理にもなるし、後輩にも指導しやすくなるところです。「心不全のポイントは3つあってね……」って。こうしたノートのまとめを毎回やっていくと、だんだん楽になってきます。

白石>いや~前日にイメトレしてノートにまとめるとは、すごいですね。

岡田>え、本当ですか……僕の職場、先輩看護師さんが怖かったんですよね……(笑)。自分自身もミスをしたくなくて、やっていた部分もあります。だって、今日も“ガス代支払い”と書いてますから(笑)。そのくらい細かく書いています。こうしてルーチンにすると、感情抜きにチェックできるので、頭のスペースを別の大事なことに使えるんです。

実際のノートのまとめ方を紹介してもらいながら、自分を知るために必要な3つのことを教えていただきました!


白石>頭のスペースを別の大事なことに使える……なるほど、その考えはありませんでした。

岡田>今では仕事でゲノムの解析やAIにかかわっているのに、このデジタル時代にあえて鉛筆とノートですからね。一時期パソコンにメモしていたこともあったんですけど、戻ってきました。やっぱり勉強には、“紙に書く”という、この作業が人間にとって大事なのかなって思わされますよ。

白石>岡田さんは、勝手に「スケジュールやタスク管理はスマホで一括管理!」みたいなイメージがあったので、たいへん驚きました。便利になった世の中でも、たしかに手を動かすことが大事だなと思うことがあります。例えば、スマホで本を読むことも便利ですが、本屋さんで紙の本を買い、印刷された紙のにおいや、触り心地、表紙のデザイン……ページをめくるたびにわくわくするような気持ち……。こうした細かなことでも五感が刺激されると、気持ちがあがります。勉強においても、岡田さんのようにあえてアナログにすることで、ほかにもさまざまな魅力が見つかるかもしれませんね…!

後編では、岡田さんが新しく学ぶときのコツについて聞いていきたいと思います。

//バックナンバー//

#001  自分の基盤にどうのせるかで学びを考える|吉岡純希さんと白石弓夏さん(前編)
#002  お互いの領域をリスペクトする|吉岡純希さんと白石弓夏さん(後編)
#003  わからないことを追求する奥深さ|小浜さつきさんと白石弓夏さん(前編)
#004  学生教育から学びを考える|小浜さつきさんと白石弓夏さん(後編)
#005  生きた話を聞く、学び方|落合実さんと白石弓夏さん(前編)
#006  学ぶのは誰のため?|落合実さんと白石弓夏さん(後編)
#007  映像で思い出せるように|中山有香里さんと白石弓夏さん(前編)
#008  失敗してもそこから気づくことが学び|中山有香里さんと白石弓夏さん(後編)
#009  自分の頭のなかだけで完結させない|中村実穂さんと白石弓夏さん(前編)
#010  目標達成までをイメージする、あえて自分を追い込む|中村実穂さんと白石弓夏さん(後編)
#011  基礎に立ち返って学ぶ|小堤恵梨さんと白石弓夏さん(前編)
#012  “認定看護師”という自分の役割が、学びを後押ししてくれる|小堤恵梨さんと白石弓夏さん(後編)
#013  頭のなかだけで考えず、まずは不格好でも形にする|青木美沙子さんと白石弓夏さん(前編)
#014 頭のなかだけで考えず、まずは不格好でも形にする|青木美沙子さんと白石弓夏さん(前編)




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白石弓夏
看護師兼ライター。整形外科病棟とクリニック、施設で働きながらライターとして活動中。ポジティブ思考、フットワークの軽さが強み。ライターとして情報収集、発信向けにTwitterをはじめたが、いつのまにか飯テロ垢と化したので、軌道修正中。
Twitter→https://twitter.com/yumika_shi