学生さんの力|大事なことはぜんぶ臨床で学んだんだ|satomi|#023

看護師クリエイティブプロジェクト「fractale」のみなさんが、毎回テーマに沿ってそれぞれの看護の足跡を残していく本企画。

「学びかたを学ぶことで看護師として生きる選択肢をふやしていく」ことをコンセプトに立ち上げたメディア「メディカLIBRARY」のスタッフが、毎回、フラクタルのみなさんにテーマを伝えています。

今回のテーマは「看護実習」です。

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明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
2021年が皆様にとって、素晴らしい1年になりますように。
また、昨今を騒がすコロナウイルスがすこしでも落ち着き、穏やかな日々が訪れますように。


さて、冒頭挨拶はこの辺にして。
今回のテーマは実習のときのことです。
看護実習、つらいですよね。
わたしも本当につらかったです。
でも、同時に転機でもありました。
今回はそれについて書いてみます。


はじめの領域別実習のときのことです。
わたしは慢性期の実習からスタートでした。
まったくわからないし、先生は厳しいし、記録は終わらないし、看護師はこわいし、周りの子たちは“看護師に絶対なるんだ……!!”って意気込みがすごくてギラギラしてるし、わたしはひとり完全にやる気を失っていました。


そのやる気のなさは実習態度や実習の記録に反映されるんですよね。
先生からも目をつけられる始末。
でも、そんなのお構いなく、「早く終われ」ってことばっかり考えていました。
単位目的のための実習だったので、結局、最後のケース発表までけちょんけちょんでした。
実習が終わり、すごい解放感で、患者さんに最後のご挨拶をしました。
すると、患者さんは、

「ありがとう、ありがとう!!」「行かないで!」

と話したのです。

わたしは驚いてかたまってしまいました。
なぜなら、じつはこの患者さん、会話は成り立っても「はい」「いいえ」くらいだったのです。

唖然としていると、

「患者さんには、何かがちゃんと伝わっていたんだね」
「看護学生も、患者さんにとってはすごくありがたい存在なんだよ」

と、実習担当の先生が話してくださいました。

わたしはまったくやる気なくて患者さんとかかわることをなるべく避けていたのに、それでも患者さんは「ありがとう」と力強く答えたんです。

不甲斐なさと、申し訳なさと、情けなさと、後悔が混ざり合い、その場で号泣してしまいました。
ただただ、そのときは「わたしが担当になってごめんなさい」の気持ちでいっぱいでした。


そこから、猛反省です。
後悔したって時間は戻せないので、そこからきちんと心を入れ替えて対応していこうと誓いました。

おかげさまで、その後の実習は順調に終了。


今は月日も流れ、看護学生さんの担当になることも出てきました。
学生さんにはこのときのことを、伝えるようにしています。
同じことばではないけど。

実習のときって、自己肯定感ものすごく下がるし、自分がちゃんとできているのか、すごく不安だと思う。
でも、できている、できていないにかかわらず、“その患者さんのことをいちばん考えている”のは担当の学生さんだと思います。
そのことって、しっかり患者さんには伝わっているし、それだけで十分ケアにつながっています。
学生さんの視点にこちらが勉強させてもらうこともあるし、本当に学生さんの力は大きいんですよ。

なので、大変だとは思うんですけど、自信をもって、たくさん患者さんとかかわっていってほしいなって思います。

//バックナンバー//

#001 はじめての尿道カテーテル
#002 なにがなんだかわからないケンサチ
#003 大きいからポケットには到底入らない
#004 家族じゃないからこそできること
#005 経管栄養とは
特別編 在宅は1人の感染が命取り
#006 自分にできることをやろう
#007 戦いは前日から
#008 波形だけじゃないよ、心電図モニター
#009 大切な人
#010 Positioning
#011 丁寧に、確実に
#012 小さな気遣い、大きな違い
#013 訪問看護と教育
#014 オンライン学会に参加して
#015 いちばん苦手な時間
#016 だって、忘れちゃうんだもの
#017 クラシカル訪問看護
#018 生きていく手段
#019 万能なケア
#020 転職は転機になりますよ
#021 絶妙な力加減
#022 なんとかなる

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fractale~satomi~
twitter:さとみ(@minisatominy

三度の飯よりお酒が大好きな飲兵衛看護師。仕事終わった瞬間からが本番だと思っている。仕事は真面目な自信あり。大学病院消化器外科3年、民間病院ICU2年、公立病院脳外科夜勤専従、訪問入浴、デイ、老健など1年の派遣生活を経て、メルボルンへ10ヶ月の看護留学。帰国後から訪問看護師として働き3年目。座右の銘は「笑う門には福来たる」。根からの明るい性格を最大限に利用し、日々楽しく訪問中。マルチポテンシャライトだから特技っていう特技はないけど、強いて言えばラポール形成が無駄に得意。今までクレームや担当変更がないのが密かな自慢。ちゃっかり保健師免許所有。 

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