看護師クリエイティブプロジェクト「fractale」のみなさんが、毎回テーマに沿ってそれぞれの看護の足跡を残していく本企画。

「学びかたを学ぶことで看護師として生きる選択肢をふやしていく」ことをコンセプトに立ち上げたメディア「メディカLIBRARY」のスタッフが、毎回、フラクタルのみなさんにテーマを伝えています。

今回のテーマは「申し送り」です。

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申し送りというテーマで今回は書きます。
が、この「申し送り」、全体的に廃止の傾向ですよね。

昔は長々と申し送りをしていたけど、今は電子カルテの普及で各々が情報を取るようになったので、なにも人から話を聞くよりも自分に必要な情報だけ取って患者さんのケアにかける時間を長くする、そんな時代になりました。

私は過去に電子カルテがない病院に2回ほど勤めたことがあります。
そのときは夜勤明けになるリーダーが全員の状態を言葉で話すので、メモを取るのに必死。
さらにははじめのころなんて名前も状態もよくわからないので、なにがなんだかさっぱりわからない時間でした。

そして自分がリーダーで申し送る場面になると、「なにを申し送って良いのか」わからない状態で、せいぜい夜勤者から引き継いだ内容をまた次の夜勤者に送る「言葉のバトン」を渡しているだけでした。
本当に苦痛で嫌でした。


ただ、自分で疾病について勉強をしていくと、患者さんの今後もわかってくる。
そうすると「今の状態は昨日より良いのか悪いのか」がわかってくるので、自分で申し送る内容がうまくまとまってくるのです。

こうなると結構申し送りが楽しくて、「自分はこんな視点で看護をしました」ってのをリーダーに伝えると、そこからいろんな意見を聞けるので、自分の看護の振り返りができるようになりました。


今は本当に申し送りはほとんどなくなってしまったのですが、それでも自分の視点を伝えるおもしろさはいつも感じています。

日勤から夜勤、夜勤から日勤へと日々引き継がれる病棟業務においては、いかに安心して次の業務時間帯に引き渡せるかというのはとても重要。
だからこそちょっとした患者さんに起こった良い出来事などを楽しそうに伝えるだけでも、次の業務を引き継ぐ人にとっては安心感につながるのではないかと考えています。

以前、僕の申し送りはわかりやすくておもしろいと評価されたこともあります。
それはただ単に笑えるというわけではなく「そういう視点があるのか」とハッとさせられることがあるとのことでした。
こういう視点の引き継ぎも、電子カルテ上のデータだけではわからない、申し送り特有の良さかもしれませんね。
今となっては申し送りは好きな業務です。



まあ、最初は本当に苦手でしたが。

//バックナンバー//

#001 はじめての尿カテ
#002 大好きな検査値
#003 ナース服のポケットに忍ばせたメモ
#004 患者の死
#005 はじめての経管栄養
#006 新人のうちはアラームになれ
特別編 いまこの時代に精神科看護師として働くこと
#007 夜勤前のルーティーン
#008 入院時のルーチン
#009 看護師が伝える言葉の重み
#010 体位変換
#011 想像と違うオンコール
#012 好きな手技
#013 後輩が持つノートのサイズ
#014 時代がようやくついてきた

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fractale~mizuki~
twitter:mizuki@おぬ10年目看護師(@c_mikzuki

乗り物好きな看護師。事務職、データベースエンジニアを経て31歳で看護師に。脳外科、回復期、精神科病棟を経験。その後は在宅医療を経験し、再度精神科病棟へ。看護師クリエイティブプロジェクト「fractale」管理者。医療メディア「メディッコ」メンバー。看護師のキャリアについて考える「ナスキャリ部!」副部長(仮)。その他多数プロジェクトに参加。好きな言葉は「まだ見ぬ誰かの笑顔のために」。好きな看護技術はひげ剃り(その他ほぼ不得意)。好きな看護業務はリーダー業務。好きな都バスの路線は【業10】新橋~とうきょうスカイツリー駅前。 

about fractale
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