現場で困っているときにすぐ学べる環境を|学びカンタービレ|#016|岡田悠偉人さんと白石弓夏さん(後編)

看護師兼ライターの白石弓夏です。

看護師として現場で働いていると、“継続的に学びが必要である”と痛感することがあります。大人になってからの『学び』は、自分のなかに落とし込み、現場で活用できるか、応用できるかが重要になってくると思います。みなさんは実際にどのように『学び』を深めているでしょうか。

この連載では、さまざまな場所で活躍されている看護師にインタビューを行い、自身の『学び方』について、一緒に考えてみようと思います!

今回はハワイ大学がんセンターで働く疫学者、岡田悠偉人さんです。


※前編はこちら


プロフィール:
聖路加国際大学大学院(MS)修了後に、株式会社を設立。看護部改革や病院再建、医療機関のIT化で多くの実績をあげている。東京・札幌・ハワイにオフィスを持ち、アジア太平洋地域でも事業を展開。普段はハワイ大学がんセンターにて疫学研究を行い、ハワイ大学や関連病院にて講義やコンサルテーションを行っている。

白石>前回は岡田さんの鉛筆とノートを活用した勉強法について触れましたが、今回は新しく学ぶときのコツをお伺いしたいです。岡田さんは、統計など新しいことを学ぶとき、どのような工夫をしているのでしょうか。

岡田>僕の場合は、実際に見て触れてから、「なぜ? どうして?」と考えて勉強していくようなスタイルをとっています。なぜなら、学びには環境要因が大きく関係してくるからです。大学院のとき、認識論について調査したんですよ。それまでは机に向かって参考書を読んで勉強してから、現場で実際に動いてみることで態度が形成されると思っていたのですが、それよりもシステムや環境の要因が大きかったんです。例えば、僕のいるハワイ大学だと、ICUのような設備が整ったシミュレーションセンターに行き、呼吸器などの機器を見て触る機会を設けています。そこで、「なんでこの患者さんに呼吸器を使う必要があるのか?」「呼吸器をつけている患者さんとどう接したらいいのか」という態度が形成されるようになると、自分から勉強するようになっていくというものです。こうした必要に迫られるような場面、じつは現場でも似たようなことがありますよね。

白石>前編でも「現場で困ったことをすぐノートに書き留めて、後でまとめる」と話していましたが、岡田さんが認識論の調査をした経緯があったからなのですね。

岡田>そうです。また最近は、勉強するにしてもいろんなものがありますよね。それこそ、僕は全部オンラインでもいいのかなと思っているくらいです。新型コロナウイルスの影響などもありましたけど、先日オンラインで看護管理や教育のセミナーを行いました。全部録音・録画できてあとで見返せるし、チャット機能を使って質問もできるんです。スライドを映しながら、講義だけでなくディスカッションも可能ですし、YouTubeのような感覚でとても有意義なものでした。だって、看護師長をやっている看護師や専門・認定看護師など、全国にいる人とリアルタイムでやりとりができるって、すごいことですよね。

先日のオンラインセミナーの様子を見せていただきました!


白石>それは楽しそうですね!普段のセミナーでは、人前で質問をするのはなかなか緊張しますもんね。だけど、チャットでやりとりできたらハードルがだいぶ下がると思います。新しい学び方ですね。

岡田>医療や看護師のコミュニティーに参加することもいいですし、僕もこういう場をどんどん作っていけたらいいな~と思っていますね。

白石>家からでもスッピンで参加できるオンラインは最高ですね(笑)。

岡田>そうですよ、パンツ一丁でも大丈夫ですから(笑)。場所代もかからないのでコストも抑えられますし……。こうしたオンラインや動画で、教育やキャリアのところを発信していけたらとは思います。やっぱり現場で困った、学びたいと思ったときに、スマホひとつで夜勤の休憩中にでも見られるのが一番ですよね。例えば、人工呼吸器をつけている患者さんを受け持っているけど、呼吸器のこの部分ちょっと自信ないな……というときに専門看護師が10分くらいで解説している動画を見て、そのまま現場で生かすとか。現場で働きながら、知識やスキルの穴をどんどん埋めていくような感覚ですね。動画で調べたことを、さらに深めたければ本で改めて学ぶこともできますから。

白石>現場で困っているときにすぐ調べられる環境は大事ですね。よく先輩に「さっきの、○○でしょ」と後から注意されて、家に帰って一から勉強となると、かなり憂鬱ですけど……。「あれ? これなんだろう」と、サッと調べられて、「こういうことか! じゃあこうしよう!」とすぐに生かすことができれば、経験と一緒に頭に入りやすいと思います。病院でもiPadを使うところも増えてきましたし、どんどんこうしたツールを活用していきたいですね。岡田さん、ありがとうございました!

//バックナンバー//

#001  自分の基盤にどうのせるかで学びを考える|吉岡純希さんと白石弓夏さん(前編)
#002  お互いの領域をリスペクトする|吉岡純希さんと白石弓夏さん(後編)
#003  わからないことを追求する奥深さ|小浜さつきさんと白石弓夏さん(前編)
#004  学生教育から学びを考える|小浜さつきさんと白石弓夏さん(後編)
#005  生きた話を聞く、学び方|落合実さんと白石弓夏さん(前編)
#006  学ぶのは誰のため?|落合実さんと白石弓夏さん(後編)
#007  映像で思い出せるように|中山有香里さんと白石弓夏さん(前編)
#008  失敗してもそこから気づくことが学び|中山有香里さんと白石弓夏さん(後編)
#009  自分の頭のなかだけで完結させない|中村実穂さんと白石弓夏さん(前編)
#010  目標達成までをイメージする、あえて自分を追い込む|中村実穂さんと白石弓夏さん(後編)
#011  基礎に立ち返って学ぶ|小堤恵梨さんと白石弓夏さん(前編)
#012  “認定看護師”という自分の役割が、学びを後押ししてくれる|小堤恵梨さんと白石弓夏さん(後編)
#013  頭のなかだけで考えず、まずは不格好でも形にする|青木美沙子さんと白石弓夏さん(前編)
#014   ストレスが少ない、気軽にできる新しい勉強法|青木美沙子さんと白石弓夏さん(前編)
#015   大事なことは3つに絞ってノートにまとめる|岡田悠偉人さんと白石弓夏さん(前編)




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白石弓夏
看護師兼ライター。整形外科病棟とクリニック、施設で働きながらライターとして活動中。ポジティブ思考、フットワークの軽さが強み。ライターとして情報収集、発信向けにTwitterをはじめたが、いつのまにか飯テロ垢と化したので、軌道修正中。
Twitter→https://twitter.com/yumika_shi





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【編集部よりお知らせ】



じつは、今回お話を伺った岡田さんをはじめ、本連載に登場していただいた皆さんのインタビューはこれだけではありません。
「どうして看護師を目指したのか」「現在取り組んでいること」「看護に対する考え方」など、ゲストの皆さんそれぞれの看護との向き合い方を、白石さんがじっくりインタビュー。
この度、その内容が書籍として刊行されます!




『Letters~今を生きる「看護」の話を聞こう~私もエールをもらった10人のストーリー』
https://www.medica.co.jp/catalog/book/8143

どうして岡田さんにインタビューしたかったのか、その理由も白石さんの言葉で綴っていただきました。
また、前編に登場した「自分を知るために必要な3つのこと」も本書で詳しくお話しいただくなど、「学びカンタービレ」のインタビューと合わせてお楽しみいただける内容です。








書籍の詳細はこちらから↓
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Amazonでもすこし内容を紹介しています↓
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