看護師兼ライターの白石弓夏です。

看護師として現場で働いていると、“継続的に学びが必要である”と痛感することがあります。大人になってからの『学び』は、自分のなかに落とし込み、現場で活用できるか、応用できるかが重要になってくると思います。みなさんは実際にどのように『学び』を深めているでしょうか。

この連載では、さまざまな場所で活躍されている看護師にインタビューを行い、自身の『学び方』について、一緒に考えてみようと思います!

今回は社会人から看護師資格を取得し、現在は精神科病棟で働く芝山友実さんです。


プロフィール:
アメリカの大学でデザインを学び、今は精神科看護師13年目。旅、食べ歩き、アート、ゲーム好き。好奇心は強いがメンタルはお豆腐。

白石>臨床に出てから専門的な知識を得たり、患者さんとの経験から学んだりしたことなどで、芝山さんが学びにおいて大事にしていることはありますか。

芝山>日々の仕事に忙殺されて、なにもしたくないときってあるじゃないですか……。私はそういうとき、もうなにもしません。めちゃくちゃ疲れて帰ってきて、コンビニのごはんを食べて、風呂に入る前に寝ちゃうくらいの時期ってあると思うんです。そういうときは、なにもしない。休みの日はひたすらゴロゴロしたり、自分を甘やかしたりして、看護のことなんか考えもしないです(笑)。

白石>完全にスイッチOFF状態ですね……。

芝山>そうそう。それですこしリフレッシュできて、心が整う瞬間ってあると思うので、そのときにまたやったらいいんです。ずっと同じように勉強して、頑張り続けるってしんどいし、続かないし、最終的にあまりよくない結果になることもあると思います。だから、「やるときはやったらいいし、やらないときはやらないでいいよ」と、私のなかでははっきりと分けています。

白石>新人のころなど、疲れて帰ってきても「勉強しないといけない……」と思ってつらかった経験が芝山さんもありましたか?



プロフィールの「お豆腐メンタル」という言葉は「自分自身が『メンタル弱いんです』と先にいうことで患者さんとの隔たりをなくすため」と教えていただきました!


芝山>あったと思います。でも、私はすぐに忘れちゃうので……過去のこと(笑)。人によって勉強するタイミング、頭に入るタイミングって違うと思いませんか? だから、「ああしなきゃいけない、こうしなきゃいけない」と、ほかの人と合わせてやったことで得られるものって多くはないと思うんです。もちろんそれで得られることもあるだろうけど、それよりも「よっしゃ! 今勉強できる波がきた!」と感じたときに、すぐ波に乗れるといいですよね。ただ、自分のなかでひとつ押さえておきたいところは……四六時中、波を待っている状態だと仕事が進まないので、「今これを急いでやる必要はないけど、面倒なことだけ先にやっとけ!」というのはあります。あとで「あれこれやりたくない」と思っているときに、すこしでも自堕落に過ごせる気がするんです。

白石>リフレッシュしたときに、ガッと集中してできることをやれるように、準備しておいたり、できるときに先まわりしてやったり……ということですね。

芝山>そうです。過去に看護研究を進めるなかで、自分の気持ちが乗らないことがあって……。そのときは、いつも100%の力で挑むのではなく、「ここだけは押さえておかないといけない」と力の入れどころを考えるようにしたことで、すこし楽になりました。

白石>気分を上げるために、なにかすることはあるんですか?

芝山>どうしようもなかったら、リセットするために寝ますね。ひたすら家にこもります。私は寝るか、ゲームするか……、集中してなにかやっていると、疲れて知らないあいだに眠れますし。身体を動かすとか、好きなことをすればいいと思います。

白石>いい意味でちょっと逃げ道を作っておくような感じですね。

芝山>そうそう。逃げるのは悪いことじゃないと思いますよ。でも、逃げっぱなしだとかっこ悪いので、「決めるところは決めてやるぜ!」と、自分の見せ場を作っておきます。自分のなかで宣言しておくとかね。

白石>まわりに公言して、自分にプレッシャーを与えるのではなく、自分自身を鼓舞するんですね。私はわりと人の目が気になったり、自分に甘いところもあるので、まわりをうまく巻き込んだりしてやることもあるんです。だけど、芝山さんみたいに内発的動機づけというのか、自分の特徴をわかっていて、タイミングを見極めて力を入れたり、抜いたり加減を調節して、自分のなかで完結できるのはかっこいいなと思いました…!

後編では、芝山さんがどのように学んでいるかのコツについて聞いていきたいと思います。

//バックナンバー//

#001  自分の基盤にどうのせるかで学びを考える|吉岡純希さんと白石弓夏さん(前編)
#002  お互いの領域をリスペクトする|吉岡純希さんと白石弓夏さん(後編)
#003  わからないことを追求する奥深さ|小浜さつきさんと白石弓夏さん(前編)
#004  学生教育から学びを考える|小浜さつきさんと白石弓夏さん(後編)
#005  生きた話を聞く、学び方|落合実さんと白石弓夏さん(前編)
#006  学ぶのは誰のため?|落合実さんと白石弓夏さん(後編)
#007  映像で思い出せるように|中山有香里さんと白石弓夏さん(前編)
#008  失敗してもそこから気づくことが学び|中山有香里さんと白石弓夏さん(後編)
#009  自分の頭のなかだけで完結させない|中村実穂さんと白石弓夏さん(前編)
#010  目標達成までをイメージする、あえて自分を追い込む|中村実穂さんと白石弓夏さん(後編)
#011  基礎に立ち返って学ぶ|小堤恵梨さんと白石弓夏さん(前編)
#012  “認定看護師”という自分の役割が、学びを後押ししてくれる|小堤恵梨さんと白石弓夏さん(後編)
#013  頭のなかだけで考えず、まずは不格好でも形にする|青木美沙子さんと白石弓夏さん(前編)
#014   ストレスが少ない、気軽にできる新しい勉強法|青木美沙子さんと白石弓夏さん(前編)
#015   大事なことは3つに絞ってノートにまとめる|岡田悠偉人さんと白石弓夏さん(前編)
#016   現場で困っているときにすぐ学べる環境を|岡田悠偉人さんと白石弓夏さん(後編)




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白石弓夏
看護師兼ライター。整形外科病棟とクリニック、施設で働きながらライターとして活動中。ポジティブ思考、フットワークの軽さが強み。ライターとして情報収集、発信向けにTwitterをはじめたが、いつのまにか飯テロ垢と化したので、軌道修正中。
Twitter→https://twitter.com/yumika_shi





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【編集部よりお知らせ】


じつは、今回お話を伺った芝山さんをはじめ、本連載に登場していただいた皆さんのインタビューはこれだけではありません。
「どうして看護師を目指したのか」「現在取り組んでいること」「看護に対する考え方」など、ゲストの皆さんそれぞれの看護との向き合い方を、白石さんがじっくりインタビュー。
この度、その内容が書籍として刊行されます!




『Letters~今を生きる「看護」の話を聞こう~私もエールをもらった10人のストーリー』
https://www.medica.co.jp/catalog/book/8143

社会人経験を経て看護師を目指された経緯やプロフィールの「お豆腐メンタル」についても本書で詳しくお話しいただくなど、「学びカンタービレ」のインタビューと合わせてお楽しみいただける内容です。







書籍の詳細はこちらから↓
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Amazonでもすこし内容を紹介しています↓
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