看護師クリエイティブプロジェクト「fractale」のみなさんが、毎回テーマに沿ってそれぞれの看護の足跡を残していく本企画。

「学びかたを学ぶことで看護師として生きる選択肢をふやしていく」ことをコンセプトに立ち上げたメディア「メディカLIBRARY」のスタッフが、毎回、フラクタルのみなさんにテーマを伝えています。

今回のテーマは「私だけのコツ」です。

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新型コロナウイルス感染症で今年の話題はすべて持っていかれそうですが、密を避け人と人の間隔を開けることが日常的になってきました。
「ソーシャルディスタンス」という言葉、今やどこに行っても見かけます。

とくにいつも考えてしまうのがスーパーでの買い物。
レジで並んでるとき、以前ならなんとも思ってませんでしたが、昔みたいに距離を開けずに並んでくる人に「おっ、なんだか近くて圧迫感あるな」と思うようになりました。

看護師は患者さんと接することがすごく多いですよね。
そのときに相手との距離感に私はとても気を遣っています。
とくに精神科での距離感はすごく難しいものがあります。



以前、私は「しっかりと話を聞くことが精神科では大切だ!」と考え、夜勤中の深夜に目がさえて眠れない患者さんから長い時間話を聞いていました。
聞き終え患者さんの病室から出たとき、私は自分の行った看護にすごい満足していましたが、患者さんはそのまま不眠で経過。
患者さんの思考をぐるぐるとかき乱してしまい、患者さんがものすごい不穏状態になったという経験があります。
このとき「患者さんと話すことだけが精神科の看護ではないな」と身を持って経験しました。

今はその経験を生かし、患者さんの状態や表情、日中や夜間帯の様子をしっかり把握してから、その患者さんとの距離が心理的にも物理的にも適切か、しっかり考えて患者さんとの話を聞くようにしています。
そして「長い時間話さない」ことも私としてはしっかり考えています。
しっかり考えないと私が話し過ぎちゃうので。


精神科で働くうえで、ほかの科よりも強みの部分として「傾聴ができる」「相手の本当の気持ちを理解する」あたりがあると思います。
しかし、この両方とも患者さんと直接接することでしかできません。
そのため、患者さんとの距離感はすごく慎重に、適切な距離を保つように心がけてます。
精神科の患者さんのなかには、パーソナルスペースを取るのが苦手な人も、逆にめちゃくちゃ広いパーソナルスペースを取ろうとする人もいます。


「適切な距離」。

これが私のコツかもしれません。

//バックナンバー//

#001 はじめての尿カテ
#002 大好きな検査値
#003 ナース服のポケットに忍ばせたメモ
#004 患者の死
#005 はじめての経管栄養
#006 新人のうちはアラームになれ
特別編 いまこの時代に精神科看護師として働くこと
#007 夜勤前のルーティーン
#008 入院時のルーチン
#009 看護師が伝える言葉の重み
#010 体位変換
#011 想像と違うオンコール
#012 好きな手技
#013 後輩が持つノートのサイズ
#014 時代がようやくついてきた
#015 自分の視点を伝えること
#016 昼間と夜間は仕事が違う
#017 「つながりは大切!」ってのはわかるんだけど
#018 看護師を辞めない理由
#019 やっぱり苦手な清潔ケア
#020 今度こそは看護師をしないぞと思う

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fractale~mizuki~
twitter:mizuki@おぬ10年目看護師(@c_mikzuki

乗り物好きな看護師。事務職、データベースエンジニアを経て31歳で看護師に。脳外科、回復期、精神科病棟を経験。その後は在宅医療を経験し、再度精神科病棟へ。看護師クリエイティブプロジェクト「fractale」管理者。医療メディア「メディッコ」メンバー。看護師のキャリアについて考える「ナスキャリ部!」副部長(仮)。その他多数プロジェクトに参加。好きな言葉は「まだ見ぬ誰かの笑顔のために」。好きな看護技術はひげ剃り(その他ほぼ不得意)。好きな看護業務はリーダー業務。好きな都バスの路線は【業10】新橋~とうきょうスカイツリー駅前。 

about fractale
https://fractale3.com/mizuki/