ワクチン接種への葛藤|大事なことはぜんぶ臨床で学んだんだ|satomi|#033

看護師クリエイティブプロジェクト「fractale」のみなさんが、毎回テーマに沿ってそれぞれの看護の足跡を残していく本企画。

「学びかたを学ぶことで看護師として生きる選択肢をふやしていく」ことをコンセプトに立ち上げたメディア「メディカLIBRARY」のスタッフが、毎回、フラクタルのみなさんにテーマを伝えています。

今回のテーマは「ワクチン接種のこと」を綴っていただきました。

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今回のテーマはコロナワクチンについてです。
みなさん、ワクチンは打たれましたか?
医療者は先行接種ができるので、打った方も多いと思います。
最近、よく出回るようになりましたね。
けど、一方でまだ打っていない、連絡すら来ていない、という声もよく聞きます。
とくに、訪問看護ステーションに多い気がしています。
医療機関と併設している訪問看護ステーションは早かった気がしますけどそれ以外のところでは、遅く……とくに地域差が大きいように感じています。


一部の人からの情報でしかないですが、いまだにまったく連絡が来ないところ、近くの大きな病院で一緒に打ってもらったところ(ワクチンが余っていたため)、近くの基幹病院が手を挙げてくれたところ、連携機関に協力いただき打てたところ、看護師だけ打って、リハビリはまだ打てていないところ、医療スタッフだけ打って、事務さんは打てていないところ、本当にさまざまでした。
同じ訪問看護ステーションというくくりなのに、地域差はもちろん、個体差が大きいのです。
そして同じくらいの規模のクリニック系列は連絡がきているのに……。
訪問看護の弱さや世間からの認識の低さをすこし感じてしまいました。
訪問看護師やリハビリの人だって、濃厚接触者の方やコロナ感染者のところへ訪問しないといけないのに……。
まだ打てていない人たちを知っている以上、一般企業や大学生に打ち始めるというニュースを聞くと、何とも言えない気持ちになります。
うれしいんだけど、複雑。


わたしにはあまり情報がないですけど、デイサービスとか施設の看護師はどうなのでしょうか。
かかりつけ医により打っているのかな。
訪問入浴などの単発派遣組は、打てていない人が大半ですね。


メディアでは、「副反応があーだこーだ」とか、「ワクチンを何回分無駄にした」とか、「二重予約してる人がいる」とか、「高齢者こんだけ打ちました!」とか、「こんな人も接種対象になってる!」とか、そのへんしか取り上げられないけど、まだまだ打ててない医療関係者はたくさんいるんですよね。


医療従事者じゃなくても、優先順位の高い人はたくさんいます。
小児の子の親は若くて基礎疾患もないから、接種の優先順位が低いことを友人は嘆いていました。
介護スタッフもそうですよね。
高齢者や基礎疾患のある方と接するという面で、リスクは医療従事者と一緒です。
ケアマネさんとかも同じですよね。


こういう方々を差し置いて、一般の人に接種するというのは理解しがたいです。


まあ、統計的には多くの人が接種完了すれば感染者数は減っていくので、広い目で見れば効果はないとも言い切れないのですが。
気持ち的にはもやんとしてしまいます。


とはいえ、直接コロナ感染者にかかわっているわけでもないので、医療従事者といえど、文句言えるわけでもないし、微妙な立場だなぁとずっと悩んでいました。


なので、ある決意をしました。


ささやかではありますが、週末にわたしもワクチン接種のお手伝いをします。
正直、休みはなくなるんですけど、すこしでも多くの人にワクチンを接種して、前みたいな日々に1日でも早く戻ってほしいと願う気持ち、その一心です。
不安や不穏、不満で溢れているような現実から、1日でも早く解放されたいです。
“健康”で、文化的な最低限度の生活、送れていますか?
精神的な不調を感じている人が増えている気がしています。
実際に患者さんも増えていますし。
生存権とは……と思ってしまいます。


医療従事者のみなさん。


いろいろな思いがあると思います。


わたしの想像を超えた葛藤もたくさんあると思います。


場所も立場も違えど、医療従事者が何か、もやついた気持ちを抱えているんじゃないかな、と思っています。


正直、「医療従事者への、感謝の◯◯!!」とかよりも、慰労金ほしいですよね(笑)。


第一線でヒーヒー言いながら働いてる人もいるし、わたしと同じように、休みを使ってワクチン接種やってる友人もいるし、なんでこんなになってまで働くんだよって思っちゃうけど、やっぱり思いは一つなんですよね。


ワクチン接種も進み、すこしずつ感染者数が減り、前みたいな笑い声あふれる世の中になると信じて。


そういう優しい気持ちや正義感が強いから医療従事者になった皆さん。


底力を見せましょう。


それぞれの場所からコロナに向き合いましょう。


オリンピックパンデミックが起こって、政府がまったく何にも、何一つしてくれなかったら……そのときは暴れましょう(笑)。

//バックナンバー//

#001 はじめての尿道カテーテル
#002 なにがなんだかわからないケンサチ
#003 大きいからポケットには到底入らない
#004 家族じゃないからこそできること
#005 経管栄養とは
特別編 在宅は1人の感染が命取り
#006 自分にできることをやろう
#007 戦いは前日から
#008 波形だけじゃないよ、心電図モニター
#009 大切な人
#010 Positioning
#011 丁寧に、確実に
#012 小さな気遣い、大きな違い
#013 訪問看護と教育
#014 オンライン学会に参加して
#015 いちばん苦手な時間
#016 だって、忘れちゃうんだもの
#017 クラシカル訪問看護
#018 生きていく手段
#019 万能なケア
#020 転職は転機になりますよ
#021 絶妙な力加減
#022 なんとかなる
#023 学生さんの力
#024 夜勤時の戦友
#025 仕事道具なのかはわからないけど
特別編 sick of COVID-19
#026 まだまだ書き足りない
#027 コントラスト
#028 意外だった参考書
#029 看護師を目指した2つのきっかけ
#030 みんなでひとつ
#031 困難ケースだってあるんだな
#032 ひとりの時間

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fractale~satomi~
twitter:さとみ(@minisatominy

三度の飯よりお酒が大好きな飲兵衛看護師。仕事終わった瞬間からが本番だと思っている。仕事は真面目な自信あり。大学病院消化器外科3年、民間病院ICU2年、公立病院脳外科夜勤専従、訪問入浴、デイ、老健など1年の派遣生活を経て、メルボルンへ10ヶ月の看護留学。帰国後から訪問看護師として働き3年目。座右の銘は「笑う門には福来たる」。根からの明るい性格を最大限に利用し、日々楽しく訪問中。マルチポテンシャライトだから特技っていう特技はないけど、強いて言えばラポール形成が無駄に得意。今までクレームや担当変更がないのが密かな自慢。ちゃっかり保健師免許所有。 

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