看護師になって、いまでも苦手なものに“点滴”があります。
留置針もあいかわらず苦手。
ただ、苦手とはいえど10年も看護師をやっているとうまくなるもの。
時として誰も入れられなかった留置針を入れられるってことも増えてきました。
本当に「場数をこなせばできる」ようになりますね。
だから点滴の患者さんとかにかかわる回数を増やしたほうが、できるようになる近道です。


そんな点滴。
「滴下調整」というものをしないといけませんよね。
滴下調整、たとえば500mLの輸液を8時間で落とすとき、成人用輸液セットの20滴で約1mL落ちる場合に、1分間に何滴、10秒で何滴、1秒に何滴落とせばいいでしょうかというもの。
これを計算して点滴を正しく落とすように計算しています。
もちろん、患者さんの体動によっても変化はするので、一度合わせればぴったりというわけでもありませんが、看護師はかならず点滴の滴下調整を行っています。

その滴下調整に僕が使うのが、「輸液スケール」と言われるもの。
だいたいが丸形の円盤が真ん中でくるくる回るようになっています。
星座早見盤のようなものと思ってください。
輸液の量と所要時間（何時間で落とすか）をくるくるっと合わせると、1分間の滴下数が出てきます。
その数を6で割ると10秒に何滴落とせばよいかが出てくる。
1分間ずっと数えるのはしんどいので、だいたいは6で割って10秒あたりの数を求めたりします。
10で割って6秒あたりの滴下数でもよいのですが。
この輸液スケール、看護師1年目のときに研修か何かでもらってから、ずっと同じものを使っています。
小さくて便利だったんですが、最近白衣の上着のポケットに入れてたら、かがんだ瞬間にお腹の肉で割ってしまいました（笑）。
ただ、割れてもテープでとめていまだに使っております。


こういう便利ツールって、1年目のときなんかは「ちゃんと計算して求めなさい」とか言われるんですよね。
だから計算式を自分で書いて電卓の後ろに貼り付けていつも計算していました。
でも、今となってはどれぐらいのペースで落ちてればよいかは見ればわかるようになりましたし、計算してもたついているより、さっと滴下を合わせたほうがほかの仕事もできるし、患者さんとの会話も多くできます。
看護師の世界って、ちょっと面倒なほうが良いみたいな風潮がありますが、私はスマートに最低限の動作で最高の効率を求めたいです。

それよりも、お腹の肉で何かが割れるほど、お腹が出てきたことに危機感を感じております（笑）。

//バックナンバー//

#001　はじめての尿カテ
#002　大好きな検査値
#003　ナース服のポケットに忍ばせたメモ
#004　患者の死
#005　はじめての経管栄養
#006　新人のうちはアラームになれ
特別編　いまこの時代に精神科看護師として働くこと
#007　夜勤前のルーティーン
#008　入院時のルーチン
#009　看護師が伝える言葉の重み
#010　体位変換
#011　想像と違うオンコール
#012　好きな手技
#013　後輩が持つノートのサイズ
#014　時代がようやくついてきた
#015　自分の視点を伝えること
#016　昼間と夜間は仕事が違う
#017　「つながりは大切！」ってのはわかるんだけど
#018　看護師を辞めない理由
#019　やっぱり苦手な清潔ケア
#020　今度こそは看護師をしないぞと思う
#021　患者さんとのディスタンス
#022　自分は人とは違う
#023　たぶん人生でいちばん嫌だったとき
#024　看護師という運命共同体

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fractale～mizuki～
twitter：mizuki@おぬ10年目看護師（@c_mikzuki）

乗り物好きな看護師。事務職、データベースエンジニアを経て31歳で看護師に。脳外科、回復期、精神科病棟を経験。その後は在宅医療を経験し、再度精神科病棟へ。看護師クリエイティブプロジェクト「fractale」管理者。医療メディア「メディッコ」メンバー。看護師のキャリアについて考える「ナスキャリ部!」副部長(仮)。その他多数プロジェクトに参加。好きな言葉は「まだ見ぬ誰かの笑顔のために」。好きな看護技術はひげ剃り(その他ほぼ不得意)。好きな看護業務はリーダー業務。好きな都バスの路線は【業10】新橋～とうきょうスカイツリー駅前。 

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