看護師クリエイティブプロジェクト「fractale」のみなさんが、毎回テーマに沿ってそれぞれの看護の足跡を残していく本企画。

「学びかたを学ぶことで看護師として生きる選択肢をふやしていく」ことをコンセプトに立ち上げたメディア「メディカLIBRARY」のスタッフが、毎回、フラクタルのみなさんにテーマを伝えています。

今回のテーマは「患者さんとの関係がうまくいかないとき」を綴っていただきました。

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看護師として働く人で、患者さんとの関係で悩んだことのない人はいないのではないでしょうか。
そもそも、普通に生活していて、人間関係で悩んだことのない人ってほとんどいないと思います。
家族、友人、恋人などなど、近しい人でも悩むことがあるんだもの、患者さんという、年代も背景も違う人とのかかわりは、難しいですよね。
悩むこともそりゃ多いと思います。
普通だと思っていたことがまさかのクレームにつながってしまったこともありました。
クレームって、精神的に落ち込みますよね。
「自分だめだめだぁ」なんて思ってしまったし、その後の業務もなかなか集中できなくなってしまったし。
頭からいったん消し去ろうと思っても、そのときの場面がずーっと脳内でうろうろしてて、切り替えがなかなかできなかったのを覚えています。

当時は、視野も狭かったしいっぱいいっぱいだったので、もやもやが昇華されるのをただただ待つだけでした。

でも、ここ数年で、クレームに対する思いが変わりました。
(理不尽なクレームは除く)

クレームの内容にもよりますが、指摘してくれる人がいるというのは、自分で気付けないところを気付かせてくれるキッカケを得られる、ということなので、じつはとてもありがたいことだと思うようにしました。
小さな指摘でも、“それを不快に感じる人がいる”、と気付くだけで視野が広がりますよね。
(クレーマーは…別物ですが…)
とくに、本当にいろいろな人、しかも長年、自分のルールで生きていた方々とかかわる職種なので、視野を広げることは、今後のかかわりのなかでむちゃくちゃ生きてきます。

クレームや指摘を受けることは少なくともショックですが、これらに対して、しっかりと対応し、伝えてくれたことに対して、きちんとお礼を伝え、同じことを繰り返さないようにすれば、案外その後はうまくいったりします。
患者さんはけっこう見ていますし、その後に誠実な対応をしてくれるなら、患者さんも悪い気はしないです。
クレーマーの理不尽なクレームも、火のないところに煙は立たないとは言いますけど、なんとなく、細かすぎるレベルで気になっている人はいるんだろうな、って思っていったん自分のなかで受け止めるようにしています。
クレーマーでさえ何も言えないような、完全体になるのが密かな目標なので(笑)。

ただ、つらいにはつらいし、まったく常識が通じない人も、まったく相容れない人もいます。
うまくいったら「ラッキー!」、ダメだったら「合わなかったんだな!」くらいのスタンスで大丈夫だと思うので、うまくいかなくても、けっして自分を責めないでくださいね!

//バックナンバー//

#001 はじめての尿道カテーテル
#002 なにがなんだかわからないケンサチ
#003 大きいからポケットには到底入らない
#004 家族じゃないからこそできること
#005 経管栄養とは
特別編 在宅は1人の感染が命取り
#006 自分にできることをやろう
#007 戦いは前日から
#008 波形だけじゃないよ、心電図モニター
#009 大切な人
#010 Positioning
#011 丁寧に、確実に
#012 小さな気遣い、大きな違い
#013 訪問看護と教育
#014 オンライン学会に参加して
#015 いちばん苦手な時間
#016 だって、忘れちゃうんだもの
#017 クラシカル訪問看護
#018 生きていく手段
#019 万能なケア
#020 転職は転機になりますよ
#021 絶妙な力加減
#022 なんとかなる
#023 学生さんの力
#024 夜勤時の戦友
#025 仕事道具なのかはわからないけど
特別編 sick of COVID-19
#026 まだまだ書き足りない
#027 コントラスト
#028 意外だった参考書
#029 看護師を目指した2つのきっかけ
#030 みんなでひとつ
#031 困難ケースだってあるんだな
#032 ひとりの時間
#033 ワクチン接種への葛藤
#034 ベテランでも好きな人っているのかな?
#035 いちばんしんどい時期
#036 情報収集は2つある
#037 180度

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fractale~satomi~
twitter:さとみ(@minisatominy

三度の飯よりお酒が大好きな飲兵衛看護師。仕事終わった瞬間からが本番だと思っている。仕事は真面目な自信あり。大学病院消化器外科3年、民間病院ICU2年、公立病院脳外科夜勤専従、訪問入浴、デイ、老健など1年の派遣生活を経て、メルボルンへ10ヶ月の看護留学。帰国後から訪問看護師として働き3年目。座右の銘は「笑う門には福来たる」。根からの明るい性格を最大限に利用し、日々楽しく訪問中。マルチポテンシャライトだから特技っていう特技はないけど、強いて言えばラポール形成が無駄に得意。今までクレームや担当変更がないのが密かな自慢。ちゃっかり保健師免許所有。 

about fractale
https://fractale3.com/satomi/