看護師クリエイティブプロジェクト「fractale」のみなさんが、毎回テーマに沿ってそれぞれの看護の足跡を残していく本企画。

「学びかたを学ぶことで看護師として生きる選択肢をふやしていく」ことをコンセプトに立ち上げたメディア「メディカLIBRARY」のスタッフが、毎回、フラクタルのみなさんにテーマを伝えています。

今回のテーマは「情報収集のコツ」です。

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情報収集、みなさんは得意ですか?

新人のとき、誰よりも早く出勤して、電子カルテで情報を収集するのが、今でもトラウマになってて、あのときの“限られた時間でどれだけ情報を得られるか”と追い立てられるような気持ちを今でも忘れません。

新人のときは情報ばかりに目がいってしまい、患者さんそのものの全体像がわからなくなってしまいました。
そこに書いてあることだけですべてを判断しようとしてたのです。
だから情報収集をするメモ用紙はメモでぎっしり。
どれがどのことだかわからなくなってしまい、結局は役に立たないメモ、情報収集した意味もなくなってしまいます。
そもそも、記録のすべてをあたまに入れることなんて難しいわけです。
そして患者さんは人間です。
今、目の前の状態こそがその人のすべてなんです。

だから、情報収集も「今、必要な情報」かどうか判断する必要が出てきます。
これは病棟によっても違いますが、間違いなく必要な情報は「なぜこの患者さんはこの病院に来たのか」と「どんな治療をしているのか」。
少なくともこれだけは押さえておきたいです。
新人さんで陥りやすいのが、「昨日のことはわかっているけど、そもそもなんで入院しているのか」がわからないこと。
病名は知っているのに入院した理由がわからないって場合が多いんです。
入院する理由がわかれば、必然的にいま行っている治療がわかります。
治療がわかれば、内服や点滴の薬もわかる。
点滴がわかれば、どれぐらいで更新する必要があるのか、今日の分はあるのかがわかる。
そして処置もなぜしているのかがわかると、どんなふうに1日の仕事をすればよいかがわかってきます。

精神科の話で恐縮ですが、例えば精神科急性期の場合、入院当初は大暴れする患者さんもいます。
この患者さんには刺激を与えることなく、安全に入院生活を送れるように観察することが優先されます。
いくら採血の指示が出ていても、その指示どおり行うのではなく、医師へ相談し患者、看護師の両方の安全が確保されてからが一般的です。
そのほか、入浴があったり食事介助があったりとさまざまな業務があるので、どんなふうに時間を組み立てれば業務がスムーズに行えるかを考えます。
ただ、患者さんにも患者さんの時間があるので、一方的にこちらの時間を伝えるのはNGですね。
そんな時間軸を考えながら情報収集すると、とても効率的かもしれません。

僕は情報収集の一番最初は「なぜ入院したか」を読み解くことをしています。
精神科の場合は入院形態がいろいろあるので、その入院形態を知るだけでもなんとなくどんな患者さんか想像できるようになります。
入院形態→疾患名の順で見ていくことが良いかもしれませんね。

情報収集も大切ですが、「今の患者さんを知ること」が仕事を行ううえで一番大切です。情報を頭に入れすぎて、色眼鏡で患者さんを見ないことも大切ですよ。

//バックナンバー//

#001 はじめての尿カテ
#002 大好きな検査値
#003 ナース服のポケットに忍ばせたメモ
#004 患者の死
#005 はじめての経管栄養
#006 新人のうちはアラームになれ
特別編 いまこの時代に精神科看護師として働くこと
#007 夜勤前のルーティーン
#008 入院時のルーチン
#009 看護師が伝える言葉の重み
#010 体位変換
#011 想像と違うオンコール
#012 好きな手技
#013 後輩が持つノートのサイズ
#014 時代がようやくついてきた
#015 自分の視点を伝えること
#016 昼間と夜間は仕事が違う
#017 「つながりは大切!」ってのはわかるんだけど
#018 看護師を辞めない理由
#019 やっぱり苦手な清潔ケア
#020 今度こそは看護師をしないぞと思う
#021 患者さんとのディスタンス
#022 自分は人とは違う
#023 たぶん人生でいちばん嫌だったとき
#024 看護師という運命共同体
#025 看護師1年目から使い続けているもの
特別編 そろそろ先が見えてこないかな
#026 僕が伝えたいこと
#027 たいへんなときのなかでの入職
#028 必死に受かろうとして手にしたもの
#029 看護師からのひとことが決めた未来
#030 1人の人にかかわる人々
#031 自宅で過ごすということ
#032 オフになるフィールドを探す
#033 思い出の多いワクチン接種
#034 場数を踏むとできること
#035 3カ月を乗り切ったみなさんへ

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fractale~mizuki~
twitter:mizuki@おぬ10年目看護師(@c_mikzuki

乗り物好きな看護師。事務職、データベースエンジニアを経て31歳で看護師に。脳外科、回復期、精神科病棟を経験。その後は在宅医療を経験し、再度精神科病棟へ。看護師クリエイティブプロジェクト「fractale」管理者。医療メディア「メディッコ」メンバー。看護師のキャリアについて考える「ナスキャリ部!」副部長(仮)。その他多数プロジェクトに参加。好きな言葉は「まだ見ぬ誰かの笑顔のために」。好きな看護技術はひげ剃り(その他ほぼ不得意)。好きな看護業務はリーダー業務。好きな都バスの路線は【業10】新橋~とうきょうスカイツリー駅前。 

about fractale
https://fractale3.com/mizuki/